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■ side . 佐野万次郎
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病院特有の薬品の匂い。
すうすう、と寝息をたてて
安心するかのように眠るA。
時刻は朝の4時。
『 マイキー、…寝た方がいいだろお前 』
『 んーん、俺は目ぇ覚めるまでここに泊まる 』
心配するアイツらにそう言ってまるまる2日。
見舞いにくる度、
『 家帰れ風呂入れ食え寝ろ 』
呪文のようにそう言ってキレたケンチン。
『 その間は俺が見とくわ 』ってそう言うケンチンに
横に首を降れば強制的に家へ帰された。
ほんとは一時も離れたくない。
綺麗な髪の毛に指を通して、
そのまま優しく頬に、優しく触れる。
……あったけぇ、…あったけぇよ。
「 んう…っ、っ…、くっそ…なんで、涙…、」
彼女の体温。
ちゃんと生きてる。
それに安心して涙が溢れる。
あの時、刺された時。
やっぱり、どうでもよくなった。
ただ刺したやつを殺そう、それだけだった。
心が、死んだんだ。
Aが死ねば、俺の心も死ぬ。
つまり、今の俺は死ぬ。
…だから、みんながいなくなる夢見んのかな。
あーあ、声聞きたい。
笑った顔が見たい、好きなんだよお前のあの顔。
「 ふは、泣いてんの総長さん 」
声がした、Aの声。
俯いた顔を彼女に向ければ、
俺のだいっっすきな、笑顔を向けていて。
「 っさい、ばか、あほ、ぼけ、……ほんっとにっ 」
「 泣きすぎだって 」
「 …っ、ばかあ…っ!!!心配したっ…!」
『 あはは 』って笑うA。
勢い余って、ガバッと抱きつけば、
ゆっくりと俺の背中に腕を回すA。
あったかい、安心する。
「 マイキー、怪我はない?みんなは?大丈夫? 」
「 お前、ほんっっとにばか!!!」
お前がいちばん危なかったの。
なのに、自分よりも俺たちの心配しやがって。
「 うわ、うるさ、…ナースコール 」
俺に抱きつかれながらナースコールを押す。
その後、看護師さんが来て、
みんなが来て、いつも通りの日常が戻って。
「 退院祝いに!!!パァっとやろーよ!!」
今の俺、これからの俺。
どちらにもお前が必要なんだ。
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真弥 - 夢主ちゃん口癖「ばか」になってそう笑笑 これからも投稿頑張って下さい! (2022年12月10日 14時) (レス) @page25 id: 5ace0f76be (このIDを非表示/違反報告)
こはね - あの、この作品と関係なくて申し訳ないんですが、「マイキーとシジュウハッテ」の続編とリクエスト編?のリンクを貼っていただけないでしょうか? (2022年1月30日 8時) (レス) id: 7f91654289 (このIDを非表示/違反報告)
夜空と暁(プロフ) - おーい、夢主ちゃん何カップ??wめっちゃ面白いです。更新頑張ってください!! (2021年8月25日 17時) (レス) id: 3b02c3cd6d (このIDを非表示/違反報告)
獅子丸(プロフ) - このお話読んでたら、私まで夢主ちゃんのお胸揉みたくなりますww更新頑張ってください!応援してます! (2021年8月21日 15時) (レス) id: f73ab42924 (このIDを非表示/違反報告)
こはね - イザナくんとの絡みも見たいッッ!ですッッ!! (2021年8月19日 23時) (レス) id: b4a9ddf842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆた | 作成日時:2021年7月28日 14時