きっと、ずっと、そばにいて。

めっちゃ好きやわ side H ページ39

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｢ごめん、水しかないけど｣

久原｢いや、かまへん｣

｢…｣

久原｢…｣




沈黙。

さすがに気まずい。

そこから、ポツポツと、俺のAに対する気持ちとか、できるだけわかりやすく話した。

祐希と飯行く話してて、誰が行かすかって思って無理やりファミレス行ったこと。

それでも、いつもみたいな憎まれ口しか叩けへんくて、Aが怒って帰ったこと、なかなかショックやってん。




久原｢あ、お前、咲良にノート捨てられたんやて？｣

｢…なんで知ってんの｣




山内さんが、｢Aが山崎に貸してたバレーノート、山崎がAとの喧嘩の腹いせに捨てたらしいぞ｣って、俺に言ってきた。

それは、Aが移籍したって聞いて、パナを飛び出す前のこと。

Aがどれだけそのノートを大切にしてたかなんて、たぶん俺しか知らへん。

怒りで抑えが効かへんなって、咲良にめちゃめちゃキレた。

次Aになんかしたら、ほんまに殺すでって言って、マネが使う机を蹴飛ばした。

半泣きの咲良。

体育館には自主練で残った選手しかおらへんかったから助かったわ。




久原｢この前倒れたときは、それで過呼吸なってたんやな｣

｢…医務室、運んでくれたの｣

久原｢ああ、俺が運んだな。まあまあ重かったで｣

｢仕方ないでしょ。大学の頃の体重に戻ったの｣

久原｢…せやな、俺がファミレスで言ったことは、ほんま無責任やったな｣




｢久原にはそう見えるのか｣って言われたとき、ほんまになんのことかわからへんくて。

後で大学時代の写真とか見返すと、今とほとんど変わらへんAが写ってる。

…ああ、せや。

入院して、あいつめちゃめちゃ痩せた時期あったわ。

そう思ってももう遅い。

何度も心の中で謝った。

医務室で2人きりのときは、昔に戻ったみたいで変にドキドキしてな。

頭を撫でると、気持ちよさそうに目を細めるAがかわいくて。




久原｢Aのこと、めっちゃ好きやわって思ってん｣

｢…｣

久原｢W杯終わったらちゃんと言うつもりやったのに、パナ来たらおらんし、山内さんが移籍したって普通に言うし｣

｢…ごめんね｣

久原｢なんやねんほんま。Aがおらへん人生なんか考えられへんわ｣




思わずAを抱き寄せる。

安心する匂いがして、首筋に顔を擦り寄せる。

ソファに座った俺の上に、覆い被さるような体勢のAは、恥ずかしそうに顔を逸らした。




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