きっと、ずっと、そばにいて。

最後の願い ページ30

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｢…他に好きな人ができたか、男遊びがしたいか、だと思う｣

久原｢…｣

｢久原だって、咲良の男グセの悪さは気づいてるでしょ？｣

久原｢まあ、な｣

｢…多分どっちか。大学のときも咲良から久原と別れたいって相談受けたことがあって｣

久原｢ほんま？｣

｢…うん｣




そのときは、他に気になる人ができたって言ってた。

多分ただの倦怠期だったと思うんだけど、その期間に気になる人の名前を3人聞いた。

全部違う男の名前。

しかも東海大生じゃなかったり。

だけど、何とか考え直してって私が説得して、結果これだけ長い期間付き合ってる。

なんだかんだお互い好きなんだろうなって思ってた。




｢久原は、別れたくないんでしょ？｣

久原｢…どうなんやろ｣

｢え、？｣

久原｢別れたい言われたときは確かに嫌やって思うたけど、俺、他に好きな奴がおるかもしれへん｣

｢じゃあ別れなさいよ｣

久原｢…止めへんの？｣




いままでは、咲良のことが大好きだった久原がかわいそうで、咲良のことを何度も説得したけど、

久原に別の想い人がいるのであれば話は別。

お互いに別に気になる人がいるのに付き合ってる理由なんてないでしょ。

それよりも早く、久原を解放してあげたい。




｢私は久原の幼なじみだもん｣

久原｢…｣

｢あんたがどんな選択をしても、応援してあげる立場にいる｣

久原｢…せやな。お前はいつも味方やな｣

｢…｣

久原｢俺に散々咲良はやめとけって言いよるくせに、最後には、俺の考えを応援する言うもんな｣

｢…やりたいようにやらなきゃ、意味ないでしょ｣




久原が微笑む。

Aがおったから、咲良と6年近く付き合えたのかも知れへんな、ありがとうって。

…あー、馬鹿だな私。

好きな人と嫌いな親友のキューピッドになってあげてたんだ。

でも、それでも、心から愛する翼くんと、嫌いでも親友の咲良が笑ってるのを見て、私も幸せだったんだもん。

これから、大会以外ではもう会えなくなるとは思うけど、会えたらまたそのときは、笑ってたい。




｢…翼くん｣

久原｢っえ、？｣

｢今だけ、…翼くんって呼んでもいいですか｣

久原｢…なんで敬語やねん｣

｢や、なんか、なんとなく｣

久原｢…ん、呼んでええよ｣




中学生になったころに、恥ずかしいから呼ぶなって言われたんだよね。

私は久原って呼ぶよりも、翼くんって呼ぶ方が好きだ。

思わずにやけてしまったら、翼くんが頭を撫でてくれた。

ごめんね、これが、最後の願いだから。




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