関西弁 ページ21
・
「あいにく、私は咲良の事情はほとんど知ってる。なぜなら親友だから」
久原「…」
「友達としては普通に好き。付き合いやすいし、いい子じゃん」
久原「…せやったら、」
「でも、男が絡むとあいつは人が変わる。それで泣く人をたくさん見てきた」
久原「…」
「私が事情を知ってて、久原も事情を知ってる。ってことは、この事情とやらを知ってる人はいったい何人いるんだろうね?」
咲良から抜け出せなくなる男は、きっとこれが理由だ。
咲良が可哀想で頑張り屋さんな女の子なんだなってことを植え付けられるからだ。
私や久原に話しといて、他の人たちが知らないわけないよね。
久原「…お前だってそうやろ」
「なにが」
久原「自分を悲劇のヒロインに置き換えて、山内さんらに色目使っとるんやないんか」
「はあ?」
久原「ほんま、こんな女にひっかかるなんて、馬鹿な男やわ」
「っ、アキさんたちを馬鹿にすんな!!」
しまった、ここファミレスだった。
思わず叫んでしまったことを謝る。
勢いで立ってしまったから視線が痛い。
だけどもう、座ることはせずに、私は久原を見つめた。
「…確かにせやな」
久原「…」
「私と咲良は、同じように嫌な女なんかもしれへん。けどな、あいつとは決定的な違いがあんねん。嘘はつかないっていう違いが」
久原「…咲良も嘘ついてへんやろ」
「嘘を嘘って見抜けへんような男を馬鹿って言うんやで」
久原「なんやて」
「私は嘘はつかへん。好きなもんは好き、嫌いなもんは嫌いってはっきり言う。せやけど咲良は、無関心な男に対しても好きって言うねん」
久原「…」
「…それが自分ってこと、ええ加減気づきや」
伝票と自分の荷物を持って、出口に行く。
腹が立つから、久原の分のお金も出してやった。
うるさくしてすみませんって定員さんに謝って、店を後にする。
…これだけ言っても、きっと久原には響かない。
どんなお前も好きやでって久原は本心を言って、私もよって彼女は嘘を言う。
…やだよ、返してよ。
かっこよくて、おもしろくて、私の大好きな、翼くんを返してよ。
ホテルに帰る道中で、涙が溢れ出す。
どう頑張っても止まってくれない。
…ああ、久しぶりに関西弁でしゃべったな。
恥ずかしいから頑張って矯正した関西弁。
反射的には出るもんやなぁ。
もう暗くなっている夜道を照らす月は、憎いくらいに綺麗だった。
・
262人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花(プロフ) - コッペパンさん» !?!?ありがとうございます…泣泣めちゃめちゃ嬉しいお言葉…!これからもがんばります!! (2021年8月6日 8時) (レス) id: 6782c8e9bf (このIDを非表示/違反報告)
コッペパン(プロフ) - 主様の小説が好きすぎてたまりません。久原くんと男好き悪女と夢主。むっちゃスカッとしましたーー。これからも頑張ってください。 (2021年8月6日 7時) (レス) id: 35bad60104 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - もかさん» もかさああん!!ありがとうございます!!!いやぁ、嬉しいです…!ありがとうございます!!すぐ次回作準備致しますので少々お待ちくださいね!!! (2020年4月22日 21時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
もか - 花さ〜〜〜ん、お疲れ様でした!!悪女退治してスカッとしつつキュンが止まらないという、この、自粛期間にはもってこいのお話でござんした!!次も楽しみです!!! (2020年4月22日 21時) (レス) id: 2e737efd69 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - まっちゃんさん» ありがとうございます、恐縮です…!! 次回作もすぐご用意しますのでお待ちください!!!!!! (2020年4月22日 21時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花 | 作成日時:2020年4月11日 20時