【赤羽業】ご主人様とイヌ 3

117 【犬派と猫派編】 ページ35

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昼休み。Aが委員会の呼び出しを聞いて、教室から出ていった


俺はそれを横目で確認して、彼女の姿が完全に見えなくなると思いっ切り脱力した





「はぁ……」





……アイツ絶対怒ってるよね


俺がキスしたから怒ってるんだよね


こうなる事は分かってたのに、あの時耐え切れなかった自分を今更恨む





今考えると、らしくなく多分焦ってたんだろう





Aが急に浅野クンと仲良くなってたからさ、どこかで取られたくないって思いがあったんだと思う





ほら、アイツって無自覚に人たらしな所あるから





でもそんなAが言い放った " 一生触るな " はかなり強烈だった





そんな事言われたら俺だって、それなりに傷付くんだよね〜


一々言われた事を気にしてるってダサいかも知れないけど、好きな子に言われたら重みが全く違う





それに俺がこうしてる間にも浅野クンと仲良くやってると思うと、何とも言えない悔しさが湧き上がってくる





……今日はもう喋りかけない方が良いのかな


あれ。俺ってこんな弱気だったっけ





そんな思考に陥っていると、綾瀬さんと目が合った





「どうしたのぉ？業くん元気無いねぇ〜？伊久留がナデナデしてあげるっ」


「不快だから触んないでくれる？」





自分で言って更にショックを受けた


あー、もしかしてAもこんな感じだったのかな





「業くん。伊久留と居る時くらいAちゃんの事考え無いでよぉ。あんな酷い子に振り回されて可哀想ぉ。伊久留なら喜んでキス受け入れるよっ」


「あんたみたいな尻軽と比べ無いでくれる？あれは怒って当然だから」


「どうしてAちゃんばっかり庇うのぉ……。業くんは今、伊久留の支配下にあるの分かってるぅ？」


「だから一緒に登下校してんじゃん」


「気持ちまでは支配下出来ないのかぁ。残念っ」





そう言って綾瀬さんは席を立ち上がって何処かに行った


何で綾瀬さんとこんな事になっているのか、それは数日前に遡る必要がある





＊





『そんなに私が嫌なら、いっその事伊久留ちゃんにイヌやって貰ったらどうですか？彼女なら忠実に仕えてくれるでしょうね！弱味を握られた私と違って！』


「あー、そうかもね。顔で告白して来たあんたとは違って綾瀬さんは俺の中身も好きになってくれたもんね」


『そういう事ですっ！今日付けでイヌ辞めます！』





廊下で喧嘩していたこの会話を、何者かによって聞かれていたのだ

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