90 【パピーウォーカー編】 ページ4
・
莉桜に連れられて教室の目の前までやって来た
扉を前にして、中々開こうと言う踏ん切りがつかない私を莉桜は不審そうに見ている
「あれ?入らないの?」
『いやぁ、ちょっと気まずいと言うか……。会いたくない人がいると言うか……』
「業と何かあった?」
『……うん。飼い主に愛想つかされたの』
「ははーん。それで号泣したのか」
『ホァッ!?!』
まだ酷い顔のまんまだったのか……
やっぱりもう一時間保健室に戻ろう
そうやって教室に背を向けると、肩を掴まれる
「おーい。あんたまた自分の気持ちから逃げるの?Aがずっと意地張ってるから今でさえややこしいのに。それをいつまで続けるつもり?」
『で、でも……』
「つべこべ言わない!まー今更、後悔しても後戻りは出来ないから。とりあえず立ち止まってる暇あったらとっとと教室入る!」
そう言って莉桜は教室の扉を開くと、私の背中をドンッと押した
『うわっ!』
私は咄嗟に声を上げる
その瞬間、横目でこちらを見る赤羽くんが視界いっぱいに広がって、思わず目を逸らした
……やばい!気まずい!
『(莉桜助けて!へるすみー!)』
「(ほらA、声掛けるくらいしなって。無視したまんまだと超感じ悪いよ。尚更嫌われるよ?)」
『(うぐ。それだけは嫌だっ。私ファイト!)』
そうやってもう一度、恐る恐る赤羽くんに視線を向けると……
彼はさっきと同じ状態で、流し目で私を見ていた
ガチん、と表情筋が硬直している中必死に笑顔を取り繕って、片手を挙げる
『ウ……ウィーっス』
「うぃっす」
何だこれぇえぇえ!
私ったら、もっと他にあったじゃん!
脳内に大反省会を開きそのまま席にストンと腰掛けて、頭を抱えた
そんな私に莉桜は通り過ぎ様に耳打ちして行った
「良かったじゃん」
『何が!!』
*
莉桜が去った後、つまり「ウィーっス」以降私達の間には一切会話が無い
うわぁぁ……どうしよう
とにかく何話していいか分からないし、声を掛けるタイミングも分からないし……
赤羽くんから声掛けてくれないかなぁ……
そうやって彼をチラリと見ると目が合ったので、私は光の速さで興味の無い黒板を10秒くらいガン見した
すると彼からの視線が感じなくなったので様子を伺うと、なんとまだ私を見ていた
目を捉えられる。これはもう逃げられない
『ウ……ウィーっス』
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
潰れたいちご(プロフ) - この作品、「好きだから。」という曲がピッタリだと思います!よければ聞いてみてください! (2022年5月9日 19時) (レス) @page25 id: 2cda77c812 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - ご協力感謝致します!(*´-`*) (2019年6月20日 23時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 私も、授業中とか種転がってないかさがしてみます!!(笑) (2019年6月20日 23時) (レス) id: 2a3b3aad81 (このIDを非表示/違反報告)
オタク少女(プロフ) - ハバネロさん» じゃあまた2人をいじる材料を探しますね!(黒笑) (2019年6月20日 21時) (レス) id: 3dab4c0edd (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 御二方お便りありがとうございました!喜んで頂いて何よりです!またラジオをいつも盛り上げて下さるのは私では無く、このようにお便りを下さるからですよ(*´ ∨`)シチュエーションを考えるのが凄く楽しかったです!これに懲りずまた何かあればお申し付け下さい! (2019年6月20日 21時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハバネロ | 作成日時:2019年6月7日 12時