【赤羽業】ご主人様とイヌ 3

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俺の知らない所で、Aが俺の事を良く言ってくれた事を知って


最近、浅野クンとやけに距離が近いからムカついていたけど、どうでも良くなった





こんな事で機嫌良くしてるとか


……俺って結構、単細胞なのかもね





あー、やばい。今絶対ニヤけてるわ





そんな顔をAに見られるとか、かっこ悪くて目を逸らしているのに……


こいつは何を考えているのかじっと見てくる





「何見てんの」





睨んでも効果は今一つで、彼女は一向に目を合わせるのを辞めようとしない


今そんな見られたら持たなくなるよ？





高ぶった理性に負けて思わず実力行使をしてしまいそうになる


俺の家に泊まりに来た時はギリギリ耐え切ったけど、今は正直自分でもどうなるか分からない





Aとこれ以上気まずくなるのは勘弁なので


とりあえず、緩みきった口元だけは隠しておこうと鼻の辺りまで片手を当てがう





マジでやばい。早くあっち行けって





けれど、そんな必死の努力を踏みにじるように彼女は俺の方に歩み寄って近付いて来た


思わず、後ずさりしてしまう





「な、何」





余計な所で積極的になられても、困るのはAだよ？どうなってもいいの？





すると、彼女は下から潤んだ瞳で見上げてきて、今まで感じた事が無いくらいの鼓動が胸に迫ってくる





「そんな目で見られても困るんだけど」





今の俺は目を逸らす事で手一杯で、本当にこれ以上この時間が続いたらストッパーが外れる





……頼むから、辞めて欲しい





そう思った瞬間、Aが首元のネクタイを思いっ切り引っ張ってきて顔が急接近した


ぷっくり、とした唇が目の前にあってもう食べずにはいられなかった





『……んぅ！？』





彼女は起きた事をいち早く理解すると、俺を突き飛ばして叫びながら教室から一目散に出ていった





『うわぁぁあっ！ごめんなさぁぁあっい！』





……あー。これは俺やっちゃったわ


Aが俺の事好きになってくれるまで、手だけは出さないでおこうって決めてたのに





彼女を追い掛けると言う考えよりも先に、後悔が頭を埋め尽くして


壁に凭れたまま、ズルズルと背中を滑らせて床にしゃがみ込んだ





そのままクシャッと髪を掻き上げる





けど、俺をここまで追い詰めたAもAだよね


今回のも遊ばれてたらさすがに心折れるよ？





「……何なのアイツ」

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