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椚ヶ丘学園へのアクセスは徒歩で通ったり、送迎の車を用いたり、その日の仕事量で決めている
今日はファイリングの作成があった為、学校ですぐに作業が出来るように車を選んだ
その道中、栗毛色の髪の毛をした暗い表情のAを見つけて思わず声を掛けていた
彼女は僕の声を聞いて飛び切りの笑顔をしていた
僕はAのその顔を密かに気に入っていた
*
彼女が乗車してしばらく話していると……
Aは突然浅野くんに会えて良かった、と言い出した
そんな風に気持ちを真っ向からぶつけてくる奴なんて、今時滅多にお目にかかれない
最初は弄りがいのある奴程度にしか思っていなかったが、ある時気が付いてしまった
*
【うわぁぁあんっ。浅野くんん。わ"だし、失恋しましだぁあ】
そう言って僕の胸に飛び付いて来たAを目の当たりにして、無性に愛でてやりたくなった
誰か一人に固執するなんて僕らしくない
そんな事は分かっていたが
それから彼女の事を考えるとどうしても独占してやりたくなった
赤羽から剥ぎ取って、自分の手中に置いておきたくなるようないつの間にかAはそんな存在になっていた
Aが赤羽に恋心を抱いていたのは前々から何となく分かっていたが、ついこの間彼女は失恋をした
傷心中は心が揺らぎやすい
実在する人物で、利用していて、赤い色……
今も赤羽の事でいっぱいのその頭を塗り替えるように僕で満たしてやる
*
『あれ?浅野くん答えられ無いんですか?質問3つじゃさすがの生徒会長様でも分からなかったかぁ』
「調子に乗るな」
『怖ぁい!そんな顔で見ないで!』
しばらく何か考えている浅野くんに声を掛けたら、思いっ切り睨まれた
何でだよ
「実在する物で、よく利用していて、赤い物だろ?」
『はい!一体私は何を考えていたでしょう!』
「そうだな。答えは……
……郵便差出箱だな」
『は?何ですかそれ?』
「君はそんな事も知らないのか」
『いやいや!その郵便なんちゃらって聞いた事無いんですけど!』
「郵便差出箱だ」
『二回聞いても分かりませんよ。路上にそんな物あります?』
「あぁ。そこにもあるぞ」
そう言って浅野くんは指をさした
その先には郵便ポストがある
実在していて、よく利用して、赤い物……確かに当たってるけど
『最初っからポストって言って下さいよっ!』
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潰れたいちご(プロフ) - この作品、「好きだから。」という曲がピッタリだと思います!よければ聞いてみてください! (2022年5月9日 19時) (レス) @page25 id: 2cda77c812 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - ご協力感謝致します!(*´-`*) (2019年6月20日 23時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 私も、授業中とか種転がってないかさがしてみます!!(笑) (2019年6月20日 23時) (レス) id: 2a3b3aad81 (このIDを非表示/違反報告)
オタク少女(プロフ) - ハバネロさん» じゃあまた2人をいじる材料を探しますね!(黒笑) (2019年6月20日 21時) (レス) id: 3dab4c0edd (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 御二方お便りありがとうございました!喜んで頂いて何よりです!またラジオをいつも盛り上げて下さるのは私では無く、このようにお便りを下さるからですよ(*´ ∨`)シチュエーションを考えるのが凄く楽しかったです!これに懲りずまた何かあればお申し付け下さい! (2019年6月20日 21時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハバネロ | 作成日時:2019年6月7日 12時