99 ページ13
・
学校まで誰かと登校するなんて久しぶりだ
それが嬉しくて心が踊る
なんだか心做しか……天気も良い気がするし、空気が何か美味しく感じるし、何より浅野くんが居るし
最っ高だよ!と私は彼を見た
「おい、何だそのキラキラした目は」
『私丁度、誰かに会いたかったんです!そんな所を声掛けてくれるなんてエスパーですね!』
「ハッ。何だそれ」
『ちょっと、私の気持ちを馬鹿にしないで下さいよ!とにかく会えたのが浅野くんで良かったです!』
満面の笑みでそう言うと、彼は上機嫌に笑った
「フッ。僕も朝から君に会えて良かったよ」
『私と同じ事考えてますねっ!こう言うのって相思相愛って言うんでしたっけ?』
「……頼むから、軽はずみにそんな事を言うな。次言ったら禁句にするぞ。一生君の口から出ないようにしてやる」
『分かりました坊っちゃん!』
「その坊っちゃんもだ」
えー、坊っちゃんって呼び方ちょっと気に入ってたのに
ちぇ、と口を尖らせていると隣からクスクスと笑う声が聞こえてきた
『何笑ってるんですかー?』
「君は本当に面白い奴だな」
『それ赤羽くんにも言われましたよ。私は心に従うまま生きてるだけなのに』
「……」
……あれ?
赤羽くんの名前を出した途端、彼は私を睨んでいた
「Aの口からアイツの名前だけは聞きたくないな」
『うぇっ?ど、どうしてですか』
「無性に腹が立つ。例え君とて僕を怒らせた末路は……『わぁぁぁあっ!怖いです!分かりました!もう言いませんから!』
「分かったか?禁句だぞ?」
念を押されて、こくこくと首を縦に振った
そんなやり取りを他所に、黒い車は赤信号に引っかかって止まった
私達が居る車道のすぐ側には歩行者用の道があって、浅野くんの肩の向こうには信号で立ち止まる人がちらほら見えた
その中に私の目を捉えて離さないものがあった
私が凝視する先には ── 伊久留ちゃんと一緒に登校する赤羽くんの姿があり、一気に嫌な気持ちになった
しばらくそれを見ていると窓ガラス越しに赤羽くんが私の方を向いた気がして、思わず抱き着く形で浅野くんの影に隠れた
彼の太もも辺りに頭を引っ込める
「お、おい……」
『急にごめんなさい。ちょっとだけこのままで居させて欲しいで、す』
「お前……」
『浅野くんは私に密着されるのは嫌ですか?』
「はぁ……僕の膝枕は高いぞ」
108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
潰れたいちご(プロフ) - この作品、「好きだから。」という曲がピッタリだと思います!よければ聞いてみてください! (2022年5月9日 19時) (レス) @page25 id: 2cda77c812 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - ご協力感謝致します!(*´-`*) (2019年6月20日 23時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 私も、授業中とか種転がってないかさがしてみます!!(笑) (2019年6月20日 23時) (レス) id: 2a3b3aad81 (このIDを非表示/違反報告)
オタク少女(プロフ) - ハバネロさん» じゃあまた2人をいじる材料を探しますね!(黒笑) (2019年6月20日 21時) (レス) id: 3dab4c0edd (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 御二方お便りありがとうございました!喜んで頂いて何よりです!またラジオをいつも盛り上げて下さるのは私では無く、このようにお便りを下さるからですよ(*´ ∨`)シチュエーションを考えるのが凄く楽しかったです!これに懲りずまた何かあればお申し付け下さい! (2019年6月20日 21時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハバネロ | 作成日時:2019年6月7日 12時