問題と言うものは ページ10
大ガマside
『今日は急に集まって貰って悪ぃな。』
『お主が吾輩等を呼ぶなど珍しいではないか。
大ガマよ、何かあったのか?』
『用なら手短に頼むよ、僕だって暇じゃないんだからねェ。』
『…………。』
オレの言葉に次々と返答していく土蜘蛛、キュウビ。そして先程から全くと言って喋らないオロチ。
キュウビに関しては欠伸までしている。ちゃんと話聞いてくれよ、今回は呑気にしてられねぇ問題が起こったってのに。
『実はな、さっき平釜平原で人間の娘を拾ったんだ。』
『ほう…人間の娘、とな?
何か問題でもあったのか?"此方側"へと来れる者は亡者か特別な人間のみであろう。』
その筈なのだ。"此方側"に来られるのは死んだ者、またはケータのような妖怪ウォッチに選ばれし者だけの筈。
『死んだ者には生気ではなく妖気を感じる筈だろ?それがな、あの娘には感じられなかったんだ。』
『大ガマ、それはどう言う事なんだい?
それでは死期の近い人間が落ちて来ただけじゃないか、大袈裟だねェ。』
『生気が感じられたらその可能性も考えられたんだがな、その娘にはそれすらも感じなかったんだ。』
"此方側"に訪れたのにも関わらず、妖気は愚か生気すら感じられない空っぽの人間。と言ったところか。
今までそんな者は見た事がない。
それが今回の一番の問題点だ。
『ふむ…それは真か。
生気すら感じられない人間、か…確かに問題であるな。』
『だろ?
空っぽの人間って明らかに可笑しすぎる。
だから骸を被った者の仕業かもしれないと触れてみたが邪気すらも感じない。
あの娘は一体何なんだ?』
疑問ばかりが積もっていく。
オレより長生きしている土蜘蛛でさえも頭を抱えていた。
『その点に関して、我々に分かる者は居らぬようだな。明日、妖魔界へと出向こう。
エンマ大王様に聞くのが一番ではないか?』
『……そうするか…。』
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作者名:しゃまる。 | 作成日時:2019年6月30日 23時