怖さなんて消える程に。 ページ40
カリッ…
私はりんご飴をかじる。
赤くて甘いりんご飴。
人気…なのかな…。
人気のない所の丘で私達は夜空を見上げている。
隣では土籠先生がフランクフルトのような物を食べている。
……ただ、沈黙だけが流れている。
…その沈黙の中…
…私の鼓動がバレなきゃいいなって。
密かに思ってたのは内緒。
土籠「……なぁ。」
声をかけてきたのは土籠先生。
ほのか「なんですか。」
少し微笑んでそちらの方を向くと…
土籠「……やる。」
サクッ。
髪に違和感が。
髪を触ってみると…
簪がついていた。
ほのか「…いいんですか…?」
土籠「……あァ。」
不器用にそう返事をした土籠先生は何か言おうとしたが…
ヒュ〜…ドンッ…!!
ほのか「…わぁ…綺麗。」
花火に邪魔をされて消えてしまった。
土籠「…そーだな。」
私達は花火を見ていた。
…チラリと土籠先生を見ると…。
土籠先生の顔はやっぱり、整っていて。
………浮世離れしてるなぁって改めて思う。
…諦めなきゃ。
…………。
…そう思うのに。
私は……土籠先生が。
大好きで大好きで…もう、おかしくなりそう。
時間が止まればいいのになんて。
……臭い言葉しか思いつかないけど。
花火を再び見る。
その美しい夜空な花は…
私達のこれからを写すように…
儚く散っていった。
ポロ……。
?…あれ…なんでだろ。
涙が…。
土籠「…!?お、おい、どうした…!?」
ああ、心配をかけちゃ駄目だ。
ほのか「なっ…んでもっ…ない…です……。」
ああ、止んで私の雨。
何で…泣いてるの私。
ねぇってば。乾いてよ。
土籠「っ…ほら。」
彼は手を広げてくれた。
あの日と同じように。
ほのか「…なんで…泣いてるんだろ。」
コロッ…コロッ。
下駄が鳴る。
………ギュ。
ほのか「…ふふ、やっぱり土籠先生だと安心します。」
土籠先生の暖かさが伝わってものすごく安心する。
土籠「…そーかよ。」
土籠先生はそれだけ言って私をもっと強く抱きしめてくれた。
…私は…この時間を離さまいと強く彼の服を握った。
……いづれか時は来るけども。
今日の日が嘘になりませんように。
私達はどちらも…
言葉の出し惜しみをしてるだけ。
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作者名:リガロ x他1人 | 作成日時:2019年8月21日 23時