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episode.103 ページ1
◇貴方side
降谷「何で、あいつなんだ」
「……」
降谷「何で、あいつじゃなきゃ駄目なんだ」
「……」
降谷「何で、俺じゃ駄目なんだ」
「……ごめんなさい」
降谷「君がそんな顔をするのが辛いんだ。君が苦しんでいるのを、見たくない」
「……」
降谷「俺が、こんなにも近くにいるのに」
「……ごめんなさい。でも、無理なんです。忘れることが出来ないんです。
降谷さんは優しいけど、その優しさに甘えちゃ駄目なんです」
そう。
降谷さんには、これ以上迷惑をかけちゃいけない。
降谷「……すまない、取り乱した」
「いえ」
降谷「君はここにいてくれ、俺はまた戻らなければならない」
「ありがとうございました」
降谷「いいんだ、俺が勝手にやったことだから」
「はい、」
彼が行った後どんどん涙が出てきて、彼の家の床に落ちていった。
こんなんじゃ駄目だ、そう思ってるのに。
この悲しみの渦から、逃げ出せなくて。
もう、そんなんだったらトリップしたくなかった。あのまま死んでてよかった。
トリップしなければ、赤井さんを推しとして好きなままだったのに。
こんな感情は生まれなかったのに。
こんなに苦しくなかったのに。
どんどん溢れるように涙が流れて止められない。
なら、いっそのこと一生分の涙を今流してしまおうか。
そうしたら、泣き虫な私は消える。
ちょっとは強くなれるかもしれない。
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作者名：ゆな
| 作成日時：2019年11月18日 11時
