ごめんの優しさ：緑 ページ4
メールに書いてあった病院にすぐに行き、Aがいるという病室に向かう。
「A!?」
「え、あ、おついちさん…?」
勢い良く扉を開ければ目の前には頭に包帯を巻かれているAの姿が見えた。
僕はその様子を見て大きな怪我じゃないことが理解できて弾んでいた息を整えた。
「事故に遭ったって聞いて…」
「え、へへ…私、またドジしちゃって…」
本当、馬鹿ですよね私…。
そう言う彼女を見て、胸が痛くなった。
こう言わせているのは、自分のせいだと。
「今回はおっつん、お前にも原因があるんだからな」
後ろから少し怒っているような声色を混ぜて話すのが聞こえ、そちらに顔を向けると腕を組んで立っている兄者と、横に弟者も並んでいた。
「…うん、ごめん、兄者」
そう返すと、ひとつため息を残してからちゃんと話し合え、それだけ言って二人はどこかへ消えていった。
「…ごめんA…僕、すげぇ最低なこと言ったのは反省してる…本当にごめん」
「そんな、謝らないでください!」
慌てて言う彼女に近づき、優しく包み込んだ。
「ううん、謝らなきゃ気がすまない…苛つきを勝手にAにぶつけた僕が悪いんだから」
Aが直そうとしているところ、ちゃんとわかっているはずだったのに、それを抉るようなことして、Aを悲しませた。
「本当にごめん…ごめん…助かって、よかった…」
みっともなく涙が出るけど、そんなのに構っていられないくらい、彼女を手放したくなくて。
首筋に顔を埋めて何度も謝った。
その時に気づいたのだ、Aがいつも謝るとき、こんな気持ちなのだと。
「…おついちさん、私を見てくれませんか?」
Aの要求に、僕は涙を雑に拭って彼女の顔を見た。
何故か彼女も苦しそうに顔を歪めて、でも微笑んでいて。
「私も、ごめんなさい…おついちさんの苦しみを、ちゃんと理解してあげることができなくて」
そう言って僕の頬を撫でるAに、目を見開いた。
あぁ、こんなにも彼女は優しいのに、自分は何をしているのだろうと。
色々な感情が込み上げ、再び強く抱き締めた。
「もう二度と、こんな目には遭わせないから…」
だから、僕の傍にいて。
小さくも呟いたその言葉に、彼女は微笑んで何度も頷いてくれた。
これから先、もう二度と、Aを悲しませないように。
彼女の大切さを改めて思い知らされた僕は、絶対にAを傷つけないと、心に誓った。
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作者名：sky | 作成日時：2018年5月17日 23時
