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Remember:青 ページ13

あれから数日が経った頃、兄者は宛もなくフラフラと近くの都内を歩いていた。
Aの家に行ったが、誰も出ることなく過ぎるだけで。

ため息をつき前を見たとき、その探していた人物が司会に入った。
気づいたときには走り出し、その腕を掴んだ。

「A!!」

彼女はすごく驚いていた。
その反応はまるで初対面かのように。

「あの…どちら様、ですか…」

「は…?」

ふざけてるのか、兄者は第一にそう思った。
でも違った、怯えている相手はとても芝居をうっているようには見えなかったから。

「A!」

後ろから声が聞こえ振り返れば、声の主は驚いたように兄者を見ていて。

「誰だ…?」

「兄さん…」

兄者のつぶやきに答えるように、震える声で彼を呼ぶA。

「貴方が兄者さん、ですね?」

「あぁ…」

少し、お時間いただけませんか?
そう言うAの兄は、深刻な顔をしていた。


そのまま3人はAの家へ向かった。
兄者はリビングで待っていると、数分後に彼女の兄が姿を見せた。

「Aは…」

「疲れちゃったみたいで、今は休ませています」

まるで病人を相手にしているかのように、兄者は何気なく疑問が生まれる。
お互い向かい合うように座り、兄者は口を開くこともせず出されたお茶を見つめていた。

「兄者さんのことは、Aから聞いていました」

自分には勿体無いほどの方だと。
そう言うAの兄は微笑んでいて、でも、どこか悲しげで。

「…数日前、Aに別れ話を切り出されました、理由も聞けないまま」

静かに、独り言のように呟くと、彼女の兄は、そうですか…と眉間の皺を深くした。

「兄者さん、今から言うことは、本当は本人に口止めされていたんですが…」

…Aは、原因不明の病気を患っています。
その内容は、一日一日、記憶がなくなっていくというものです。

彼の発した言葉に、兄者の思考は停止した。

(続)

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作者名:sky | 作成日時:2018年5月17日 23時

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