399話 幸せに(無一郎side) ページ36
「......兄さん.....?」
気がついたら僕は、昔に住んでいた、イチョウの林の中に立っていた
目の前には兄さんがいて、僕は無くしたはずの腕が戻っていて
_____なるほど
僕は結局、上弦の壱と戦って死んだのか
不思議と悲しみや焦りなんて感情は沸いてこなくて、僕は兄さんに駆け寄ろうとした
「兄さ_____」
「こっちに来るな、戻れ!!」
「.....え?」
.....沢山褒めて、話を聞いてもらいたかったのに
久しぶりに聞いた兄さんの言葉は、そんな心ない拒絶の言葉だった
「....どうして?頑張ったのに......兄さん、褒めてくれないの?」
兄さんは、怒りながら泣いていた
僕も、兄さんに拒絶されたことが悲しくて泣いた
どうして、どうしてなの兄さん......
そんな風に冷たいこと、怒ったように言わないでよ
「どうして?こっちが聞きたい。逃げれば良かったんだ、お前はまだ15だぞ」
「....仲間をおいて逃げれないよ。Aや玄弥だって、僕と2つしか変わらない」
そう、そうだ、二人だってまだ若い
Aは御館様を守るために自分を盾にして、片腕が無くなっても戦っていて
玄弥だって、才がなくとも決して諦めることはしなかった
_____そんな中、僕だけが逃げれるはずがないよ
だけど兄さんはまだ怒ったような顔で、少し離れたところから僕を睨んでいる
「そんなの知るかよ、だからってお前がこっちに来ることはない。こんなところで死んでどうする?
無駄死にだ。こんなのじゃ、何のためにお前が生まれてきたのかわからないじゃないか」
......違う、違うよ無駄死にじゃない
ボロボロと落ちる涙は止まらなくて、僕の足元を濡らしていく
15の僕が可哀想なのなら、兄さんの方がもっと可哀想だよ
だって、兄さんが死んだのは11のとき
___なんで、なんでそんな悲しいこと言うの兄さん
「.....何のために生まれてきたのかなんて、そんなのちゃんとわかってるよ。
僕は、幸せになるために生まれた。兄さんもそうだよ、違うの?幸せな時なんて1度もなかった?
僕は幸せだったよ。家族四人で暮らしていた時も、兄さんと二人になった後も」
.....一人ぼっちになってから、辛いことも悲しいことも沢山あったけど
友達ができて仲間ができて、僕はちゃんと幸せだった
また、笑うことができたんだよ
そつ言って泣く僕の顔を見ても、兄さんは、まだ不機嫌そうに顔をしかめたままだった
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時