393話 目覚め ページ30
『.......琴葉さん.....?』
「あぁ?.....な、お、お前!A、起きてんのか!?」
まだ虚ろな瞳を開くと、一番にさっきも見ていた整った美しい顔が目に入り
_____琴葉さんじゃない、伊之助だ
そう気づけば、私は現在自分がどんな立場なのかがわかった
目覚めたのだ.......死んだはずの人間と出会うと言う、あの不思議な夢から
不思議で少し怖くもあったけれど、優しく、最後まで温かかった夢
「あっ、A、さん.....?お、起きたんですか!ほん、とうに!?」
『しのぶさん.....すみません、かなり寝てしまっていたみたいですね。鬼は?』
「倒しました、三人で」と、泣きそうな顔でそう言ったしのぶさんの隣では
しのぶさんと同じように、今にも泣き出しそうな顔をしたカナヲが、心配そうに私を見つめていた
______三人とも無事で倒せたのか、良かった
ゆっくりと横倒しになっていた体を起こしながら、私はそっと胸を撫で下ろす
傷は、もう痛くはなかった
.......能力で傷が塞がったらしい
肌の火傷も引いているし、鬼に切られた足首は治っている
多分、肋骨ももう大丈夫だろう
「...........あの。
Aさん、失礼ながら、傷が塞がったのは......」
控えめにそう尋ねるしのぶさんに、困ったように笑いかけ
私は、失明した左目に巻いてもらっていた包帯をスルスルと取り外したのだった
『____私は、人か鬼かと言われれば、人に当てはまると思います。ですが.....
1度は鬼の血をも取り入れた、所詮は成り損ないです。ですから、多少は仕方ありませんよ』
「っ、そんな!成り損ないだなんて....!」
『ありがとう、カナヲ。でもごめんね、私はもう良いんだよ』
もう、全部吹っ切れたから
やはり無くなった左手は元には戻らなかったけれど、耳と目は機能する
.......これなら大丈夫、戦える
__「A!こっちだ、無一郎たちが危ない!」
__「お姉さん、早く来て、早く!先生を助けて!」
__「兄ちゃんたちを、約束だよ!頼んだよ!」
動こうとする私を制止するしのぶさん達の声を無視して、刀を手に取り走り出す
行かなきゃ、あの子達に呼ばれてる
『.......大丈夫、任せて。きっと、守るから』
夢で出会った人たちの声を頼りに、私はただ長い廊下を走る
近くに鬼がいる、かなり強い鬼だろう
______そして、無一郎君と不死川さんに玄弥君、悲鳴嶼さんもそこにいる
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時