295話 真実は、 ページ22
『そうかぁ、君たちは悲鳴嶼さんが本当に大好きなんだね。良いことだ。
......さあ、それで、教えてくれるかな?私に何か話すことがあるのよね、きっと』
私に抱きついている数人のからだそっと自分から離して、目線を合わせるように腰を曲げる
岩柱から________いいや、もう悲鳴嶼さんで良いだろう
悲鳴嶼さんから聞いた話では、この子たちは鬼に襲われた際
私の後ろに隠れろと言った悲鳴嶼さんを信用せず逃げ、殺されてしまったと聞いている
......だけど
この子たちの瞳は、悲鳴嶼さんを心から信じきっている目だった
だからこそ、悲鳴嶼さんを信用せず逃げたという部分に、少し不自然さを感じてしまった
「あ、あの.....!私たち、先生をおいて言ったわけじゃないの!本当なの、信じてお姉さん!」
「そうなんだ、本当は全然違うんだよ!ただ、先生に伝えられなかっただけなんだ!」
必死に訴える子供たちにうんうんと頷きながら、私は彼らの話に聞き入る
それはそれは、悲しくて健気な話だった
「あのね、先生はとっても優しくて。私たち、先生が声を荒げるところすら見たことなかったの」
その内の1人の女の子がそう言うと、全員が必死に肯定する
皆の話を纏めると、こうだ
_____鬼が来た日に皆は、悲鳴嶼さんや末っ子の「さよ」という子を守ろうとしたのだという
家の外には、武器にできそうな農具があった
だから、男の子はその農具を取りに行って鬼と戦おうとした
少し距離を走れば、人が多く住む町があった
だから、女の子はその町に助けを呼びに行こうとしていた
そこを鬼に殺されて、勘違いをしてしまった悲鳴嶼さんに真実を伝えることもできず
「明日」が、鬼に殺されてしまったせいで来なかった
当たり前に来るはずだった「次」が、この子たちには来なかったのだ
だから、この子たちは.......
あまりにも健気で不憫で、なんだか私の方が涙ぐんでしまっていて
「あのね、お姉さん。俺たちから、1つだけお願いがあるんだ」
『.......うん、良いよ。なあに?』
″先生をまだこっちに来させないで。それから、きっと先生に本当のことを伝えて。きっとだよ″
うん、うん、わかったよ
絶対に守るから、まだここには来させないから
そう答えた私に子供たちは笑って、「じゃあお姉ちゃん、頑張ってね」と
ゆっくり、全員で私の体を押した
________ああ、また、落ちている
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時