293話 兄からしたら ページ20
『じゃあ、お隣、失礼するね』
数十センチほど間隔をあけて腰をおろした私に、有一郎君はクスリと笑いを溢す
その仕草は、やはり
11歳やそこらの容姿には釣り合わないと感じるほどに大人びて見える
_______無一郎君たちが鬼に襲われたのが、今から3年前の話で
つまり今私の隣にいる有一郎君は、見た目より3つだけ精神年齢が高いことになるのだと思う
.....だけどやっぱり有一郎君が
無一郎君よりも年上で、しっかりした子に見えるのは何故だろう、なんて
そんな風に考えながら有一郎君を見つめていると、不意に彼は「.....だ」と口を動かした
『.....?ごめんね、もう一度言ってもらえる?』
よく聞こえなかった為にそう声をかけると、有一郎君はそっと目を伏せて
まるで、遠い昔のことを話すかのように......
どこか懐かしんでいるような、後悔しているような表情で言うのだった
「アイツは______無一郎は、昔から優しすぎたんだ。母さんも父さんもな。
母さんと父さんの2人を失ってから、俺は、無一郎1人を守ることだけをただ考え続けてた」
″.....だけど無一郎は違った
見ず知らずの誰かのために、鬼殺隊に入ろうと言い出したんだ″
彼の口から聞く話は、以前無一郎君からも聞いたことがある話で
だけど私は、有一郎君には有一郎君の、優しさと愛があったことを知った
無一郎君は
大好きな兄と一緒に、多くの人を救おうとした
もって生まれた人一倍の優しさと強さを、まだ幼いその体に宿して
だけど、無一郎君は気づけなかったんだろう
兄の悲しいほどの猛反対の裏に隠された、大きな大きな愛の存在に
『........理不尽だね、本当に』
ぽそりと呟いた私に相槌は打たず、有一郎君は代わりに近くのイチョウの葉を拾い上げる
それから、私の目をまっすぐに見据えるよう向き直った
「無一郎のことは、俺が守ってやるつもりだった。........でも、それは叶わないから
だから流星A、お前に無一郎のことを頼む。アイツを生かしてやってくれ。
.......それから
絶対に死ぬな。妹弟が先に死んじまった世界なんて、兄からしたら生き地獄だぜ」
__兄からしたら__
そう言った有一郎君に、どんな意図があったのかはわからない
だけど、ふと気付けば私はまた、地面があったはずの場所から下へ下へと落ちていき
次の場所は_______
ここは、........森?
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セブンス・エイカン(プロフ) - キメツ好きさん» 好きですか!本当ですか!?(喜)無一郎君はできれば助けようと思ってます、コメントありがとうございます.....!じゃんじゃん(?)救済して行きますよー! (2020年6月22日 22時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
キメツ好き - はぁぁぁ泣けますね.....やだ好きです.....()御館様もしのぶさんも助かって良かった!!玄弥くんは.....悲しいけど.....無一郎君は助かるんですかね?救済してください!お願いします! (2020年6月22日 17時) (レス) id: b2fc3cf6a1 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 中トトロさん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!更新頑張りますー! (2020年5月21日 7時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
中トトロ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてますよ! (2020年5月20日 23時) (レス) id: b4064f663e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2020年5月17日 20時