ろく！ ページ6
「やぁ、お嬢さん」
「──」
「あ、あなたは・・・バロウズ市長……？」
「邪魔してすまない。だが、ホールを出ていくキミのことが気になってね」
全ての元凶のくせに。
「…………。」
「ノエル・チェルクェッティ君。私は演奏家ではないがキミの気持ち、わからなくもない」
嘘つけ！
「家名の誇りや、友との競争心……。かかえるものは、軽くはないだろうね。」
「…………。」
「・・・結果を悔しいと思うかい？」
「……もちろんですわ。わたくしはあの子に負けたくなかったし、式典奏者になりたかった。」
「ジリアン君とクリスタ君とは、だいぶ親しいのかい？」
「...っ」
危ない。声が出るところだった
なんで私！？
「ピアノ教室で知り合ってから、ずいぶんたちましたから。クリスタとは…幼馴染なんですの。それこそ過ごした年月はそれほど長くはありませんが…大切なお友達ですわ」
「……なるほど。ライバルであり、親友というわけだ。悔しいのはなおさらだろうね。だが、キミの演奏もジリアン君に負けないくらい評価を集めていたようだ。今年はダメでも来年の式典奏者にならなれるんじゃないかな？」
「そんなものに意味なんてありませんわ！わたくしが欲しかったのは、誰よりも.........もちろんジリアンよりもすごいという証。
それだけですの。
2番目にすごかろうと、評価されようと……今、一番でないのなら意味がありませんわ」
・・・ノエル
ダメだ、ぐおっときた。
実際に聞くとやっぱり違うな…
しんどい、とかとも違くて…悲しいとも違うような…
虚しい…のかな
元々用意されていた結末ってことをノエルは知らないから、こうやって感情をぶつけて馬鹿みたいにがむしゃらになる。
物語という括りでみている私に対する皮肉でもあるかもしれないし
何よりも
あいつに私の友達が利用されているってことに苛立ってしょうがない。
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