理不尽クソ幹部から逃げるだけ.3【wrwrd!】

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ゾムside


扉の前で言葉を放つ。気配はある。

だから絶対にいる筈なのに不自然すぎて中々言葉が出てこない。


そう、不自然なんだ。気配がある、ありすぎる。隠す気は無いのに返事はしてくれへん。



目の前がチカチカしてくる。頭が混乱して、早くAを繋ぎ止めておきたくて焦って扉を開ける。





　



　


　

「____っ、」




　


ああ、逃げてまう。






　




頭が真っ白になって、何も言葉が出なくて、つまって、無理や。

いかんとって、




逃げんで、





わらって、









なあ、







　



「____________っ、A」








『_____________』
















飛び降りていく姿をぼんやり眺める。





　




　




目が合った。


泣いとった。




いろんな光を集めた瞳が、きらきらしてて、綺麗で、だけど胸が締め付けられた。



　



　










「ゾム何しとんねん！」


「…トントン、」





俺の横をトントンが走っていって、彼女と同じように飛び降りていく。




窓の外を見た。





　



　



ごめん、トントン。仕事できへんくて。

俺がA繋ぎ止める役やったのに、無理やった。

でも、やっぱ好きやから、彼女の気持ちを無視したくなかってん。




なあ、







グルさんも、トントンも、みんなおんなじ気持ちやのに、

なんで、Aには伝わらんのかなあ。



　


「あの分からず屋に言わなあかんねん」










そう言って、

俺も夜空に溶けた。

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