理不尽クソ幹部から逃げるだけ.3【wrwrd!】

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トントンside


『…………』




大量のドレスを前に、冷たい視線を向けるA。女の子ってこんなん好きやないん？

とグルさんを見ればウキウキしながらドレスを選んでいた。


いやお前やない。



「これなんかどうだ！？お前の黒髪に良く似合うゾ！」

『そんな格好してええんです？』

「ええよええよ。男なんて単純やから、釘付けにしたもん勝ちやろ」

『……』



彼女の後ろ姿を見てると、長い間いたんだな、と思う。

まだ一年も経ってないけれど、彼女の少し伸びた髪がそれを物語っている。



「最近の女の子はこんなん好きやけど、」



プリンセスラインの水色とピンク色のドレス取り出すオスマン。

水色は下に行くにつれ白の花模様が多くなっていていかにも女の子って感じだ。

ピンクも造花の薔薇やフリルをふんだんに使っていて露出が少ない。


さっきグルさんが取り出した背中や胸やらが大きく開いたものとは対照的だ。



『んー、でもせやったら女の子女の子しすぎやないですか？』

「お、」


ぴくり、と反応するオスマン。

彼女の言葉にしては意外でも無いが、それでも彼女の賢さや性格には驚かせられる。


女の子やったら、こんなん着てみたいやろうに。


『此処は軍国やないですか』


「ほんま、おもろいこと言うなあ、A」



ぎゅっと抱きしめようとするオスマンをひらりと躱しドレス選びに行くA。

やめて、ほんま惚れなおす。


「可愛いだけやったら他とおんなじやもんな」

『ふふ、私色にしたりますって』


何処からその自信が来るのか。

経験があるのか、彼女の瞳は落ち着きを払っていた。



「やったら、これは？」

『Aラインもええけど、ミニ丈にしましょう。好きやろ？』

「ちょ、俺に聞かんといて…」



こんなの、と膝上に手を当てこっちを笑いながら見てくる。

ほんま、こいつ、かわええのわかっとるんやろうか。


まあええや、とするりと俺から逃げていってドレス選びにまた入る。



『これなんかは？』

「__背中開きすぎやし腹出とるやん。」




つ、と彼女の後ろから手だけ伸ばして取り上げる。

すると不自然にびくり、とした。…もしかして、まだ怖がられとるんかな。


『＿＿＿』

「………え、あの、」

『っ、この魅惑ボディ今出すべきですやん』









　



思考停止。





　




　
　
　







なんでって、









　









戯けて言う彼女の頬が、ほんのり赤かったから。

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