理不尽クソ幹部から逃げるだけ.3【wrwrd!】

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「んー、脱走しようとせんかったら素直に教えてあげてんけどなあ」

『っ、』

「そんな、知りたいん？」



くそ、ハメられた。
と気付けばゾムさんがふわっと笑う。

優しい人だ。私の心をその優しさでボロボロにしていってるのを知らない。




「………んー、まあ全部知っとる訳やないし…やめとこうかなあ」

『……』


出来るなら教えてほしい。

何処まで情報が漏れてるのか怖いから。


だって、個人情報なんて知ってほしくないし。



「ふはっ、顔、出とるよ」

『っ、』



ぎゅっと抱きしめられたから顔を埋める。
頭をぐりぐりして、考えることをやめる。

拒否しないで、受け入れて。


そう何処かで願ってて、虚しい。



「俺らは別に受け入れられるけど、君が受け入れられへんねんな。」

『…』

「大丈夫、大丈夫、待つよ。俺らが信用出来るようになるまで、待つよ。」


『…何言ってるすか』




笑って、戯けた言葉は届いてる筈なのに、抱きしめる手を離さない。

知らない癖に、言わないで。

私が、


私がどれだけ幹部達に心を許してて、

どれだけそれを怖がってるか知らない癖に。



待つよ。って言葉がどれだけ私を苦しませるか知らない癖に。



　

頭を撫でる手が優しいから、

下唇を強く噛んで、目を思いっきり瞑った。




手を振り払う事はしなかった。

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