32話 ページ34
話しかけてきたのはコナンと知り合いの、髪が長い女子高生だった。
「コナンくんから聞いてます。仲よくなった人がいるって、あ、私は毛利蘭です」
「天羽です。んで、左がかな。右がひな。左のは俺の弟ね」
まとめてよろしく、と笑う。それに蘭の隣の席にいたカチューシャの少女が頬を赤らめた。どうやら俺は男も女も魅了してしまうようだ。
注文したものが届くまではこの三人と話でもしていよう。ひなとかなでは面白くない。
丸い瞳を瞬かせて、無邪気な笑顔を浮かべる。女子高生でもまだ幼さが残っており、愛しく感じた。
「かなさんは弟だってわかったんですけど、ひなさんはお友だちですか?」
「そう、ひなは仕事上の部下」
あながち間違いではないことを口にする。そうなんですね、と相づちを打って、今度はかなを見やる。
「もしかしてかなさんも?」
「全員同じ仕事だよ」
「やっぱり!なんか似たような格好だなぁって思ってたんですよ」
確かに全員がスーツを着ていたらわかる、とても簡単な問題だ。あと袖を捲っていなくてよかった。
コナンの知り合いは探るのが好きなんだろうか。話術のレベルはそれほど高くないが、物凄く個人的なことを話してしまっている。
彼女の雰囲気がそうさせるのかも。
やだね、面倒だ。
そこで、ウェイターが注文した品を届けに来る。熱々のオムライスを前に手を合わせて二人より一足先に頂く。
「うまいですか?」
と、かなが唇についたケチャップを指先で拭う。指先をペロリ舐めると、妙な色っぽさにカチューシャの子が奇声を上げた。
「ちょっと園子、声おおきいって」
「指についたものを舐めてる姿さえ素敵だなんて……完璧すぎる!」
「園子には真さんがいるじゃない。そんなこと言ってると、また真さん物を壊しちゃうよ?」
「そ、そうだけど……キッド様と同じで憧れる的な、それよ!」
きゃあきゃあと可愛らしく口論を始める。その間にも二人の食事も運ばれ、召し上がっていた。
ひなは大好きなドリアに瞳を輝かせ、かなは静かに感動を覚えている。連れてきて正解だったようだ。
とそこで、テーブルを爪先が叩く。視線を上げていき、ウェイターと目を合わせる。
「暇ならこのあと少し話でもしませんか?」
純粋な好意、ではないか。
きっかけは知らない方がいいだろう。
「いいよ」
「ありがとうございます。ではまたあとで」
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