31話 ページ33
「あ、天羽さん。また来たんだね」
「ここの味に骨抜きにされてさぁ。そーいうコナンは、女子高生と合コン?」
ロングヘアーの女子とカチューシャの子と相席しているのを見て、言う。
「そんなわけないのわかって言った?」
「うん」
もう、と子供らしく頬を膨らませる。膨らんだ頬を押して潰した。
女子高生はどちらも帝丹高校の制服を着ていた。しかし、どちらもコナンと姉弟ではなさそうだ。顔が似ていない。
潰された頬を押さえて、俺の背後に目を向ける。
「天羽さんの後ろの人たちはだぁれ?」
「左がかな、右がひな。かなは俺の弟だよ」
紹介され、頭を下げる。ひなは警戒しているのか、どうもと呟くだけにした。
今度は二人を連れてポアロにやって来たのだ。連れてきたかったのと、俺が食いたかったっていうのが理由。
案の定、こういう所が好きなかなが子供みたいに目を輝かせている。
テーブル席に腰を下ろす。ウェイトレスに渡されたメニュー表を広げ、どれにする?と選び始めた。
「俺、カツカレーがいいです」
メニューを開いて即決する。脂っこいものはあまり食べないのだが、珍しい。
対してひなは、色んなものに目が眩んでなかなか決まらない。
「えー、俺はぁ……うーん……」
可愛い。
「ひなの好きなドリアあるけど」
「えっどれですか?」
「これ。いろんなのあるけど、どうする?」
うーん、と好物のドリアがずらりと並んだ写真とにらめっこする。
これも結局選ぶわけだから長くなりそうだ。すると、Aさんは?とかなが言う。
メニュー表を覗き込み、パッと目についたものを指した。
「オムライス」
「ああ、昔から好きですよね」
と、懐かしむように微笑んだ。そういえば一番多く食っているのはそうかもしれない。
「決まりました。トマトソースのドリアにします」
そうこうしている間にひなが決める。全員の頼んだものを聞くとすみません、とウェイターを呼ぶ。
相変わらず好青年なウェイターに微笑みかける。
「あなたは昨日の……どうもご贔屓に」
「店員クンの味に虜になっちゃって。目指せ常連中なんだ〜」
「そうですか、ありがとうございます」
どこか距離を置かれているような感覚だ。
しかし、今日は昼飯を食べに来ただけ。
全員の注文を読み上げていく。メニュー表を閉じ、あとは来るのを待つ。
「―――あの、すみません」
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