24話 ページ26
「あれっ、天羽さん!?」
驚いたように名前を呼んだ声に顔を向け、微かに目を見開く。
大きな眼鏡をかけた小学生くらいの子供。ジンとの待ち合わせの間、知り合ったコナンと言う。
おいで、と手招きする。まだ衝撃が抜けきらないようだが、高い位置にある椅子に座った。
「さっき別れたと思ったけど、まだここらへんにいたんだね」
早速始まった会話に頷いて、メニュー表を渡す。目を丸くするので、メニュー表を指差して言った。
「好きなの頼んでいいよ」
「えっいいよ、そんなの。お金もったいないよ」
「大丈夫だって。足りなくなったら貰うし」
「誰から」
「誰かから♪」
眉を潜め、怪訝な顔をする。この子は善悪をちゃんと理解しているようだ。
メガネをしているから真面目そうだとは思ってたけど。
「その、誰かに申し訳ないからいいよ」
「じゃあ勝手に頼むけど。俺もう昼飯食ったから、嫌いなのでも食べてねー」
「天羽さんて……話聞いてるようで聞いてないね」
ものの数分で俺のことを少しだけ知ると、疲れたように溜息を吐く。
そんなコナンをよそに、俺は好青年のウェイターを呼んだ。
ウェイターはやはり爽やかな笑顔を浮かべて対応する。が、コナンを見た途端、目が一瞬変わった気がした。
「あれ、コナンくん。今日は蘭さんいないのかい?」
「あ、うん。園子ねーちゃんと映画観に。15禁のゾンビ映画だって」
「なるほど。それじゃあ着いていけないね」
どこか含みのある言葉にコナンが苦笑する。
この二人は何やら深そうな関係だ。深いというのは"意味深い"であり、恋人とか言うのではない。
そもそもこの二人、出逢ってみて不思議な感じがする。
なんというか、自然と警戒してしまう。普段死と隣り合わせな俺の警戒心は、間違うことはないだろう。
だけど、どうして警戒するのか。
ウェイターは手つきからしてするべきだ。しかし、子供はどうなのだろう。
――あ、どっかの博士が作った子供型ロボットとかかな。
「あの、お客様。ご注文は?」
と、困り顔で尋ねる。
意識を彼らに向け、メニュー表をめくる。
「子供が好きなのある?」
「好きというか、人気なものは。スイーツ系が多いですが」
「じゃあスイーツで。ウェイターさんのおすすめちょーだい」
「かしこまりました。すぐにお持ちしますね!」
「だからいらないって……安室さんも、絶対話聞いてたくせに……悪ノリしやがって……」
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