クロトの微笑。

【38】 ページ39

北「その小瓶.....」

藤「え？」






しまった。





前に北山さんからもらった
紅茶の茶葉が入った小瓶を引き出し
から出してしまった








いままで少しずつ飲んでは、瓶を
眺めてニヤついていた俺






北「その瓶....どうしたんですか？」

藤「あっ...いや...これはそのぉ....」

北「......それ、ボクが前にあげたやつですよね？」

藤「え....あっ、はいっ....」

北「ほんとに記憶.....なくしてますか？」

藤「.......」









黙ることしかできなかった







もうおしまいだ




クロト様に見放された....いや、自分から





この恋を手放したんだ








北「なんで黙ってるんですか？」

藤「....ごめんなさいっ....」

北「謝ってくださいなんて言ってません。
　 なんでっ....記憶喪失のフリなんか.....」

藤「俺、北山さんを傷つけました。
　 自分の勝手な思いだけで、いきなりキスして。
　 申し訳なくてっ....だから俺の事.....忘れてほしかった」






北山さんの目には薄っすらと涙が溜まっていた







だから、泣かせたいわけじゃないのに






こんな奴のことなんか忘れて





普通に女性と結婚して、子供もいて


幸せな家庭を築いてほしい





幸せになってほしかったんだ





そのためには、俺は北山さんの目の前から
消えた方がいいんだって思った








このこと、あなたに伝えたら






俺の事、忘れてくれますか？

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