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『 気にしないでやってくれ。
こいつは家系が少し特殊なんだ 』
『 行秋! 』
『 おやぁ、君も入部希望?
今ならギフト券がついてくるよ 』
行秋、と呼ばれた彼は首を振りながら
話を続けた。
『 まさか、僕は図書委員の仕事で忙しいからね 』
『 そう…残念。で、特殊ってどういうこと? 』
『 それは、本人から聞いて欲しいな 』
彼がそう言うと
全員の目線は重雲くんに集まった。
『 あー……はは、色々あるんだ。
そんな事より、オカルト研究部について色々聞きたいんだが… 』
重雲くんは言いたくないのか話を逸らしながら
そう答えた。
彼が話したくないのなら無理に聞くのは辞めようと思い
胡桃に書類を渡すように促した。
「 でも本当にいいの…?
入った後後悔しない? 」
『 ちょっとAってば、こんなに楽しい部活無いでしょ! 』
「 ほぼ書類整理ですが 」
『 いいんだ。僕は今までこの学校でだらだらと
過ごしていただけだったが…
この学校の為になりたいんだ 』
『 そう…そう!!そうよね!!
いやぁ〜重雲くんやっぱ分かってるぅ〜 』
「 …あー… 」
何か大分勘違いしているようだが
この雰囲気の中で水を指すのも良くないため、目を逸らしながら頷いた。
『 で、行秋くんは本当に入らなくていいの?
今なら君限定で入部用紙無料配布してるよ? 』
「 適当な事言わないの 」
『 なっ……今月の小遣いで足りるだろうか… 』
「 重雲くん、全員無料だから
大丈夫だからね 」
『 …遠慮しておくよ 』
彼ははそう言いながら
こちらに同情のような哀れみのような、そんな目線を送ってきた。
「 ……悲しい 」
『 大丈夫A、ハンカチいる? 』
「 …要らない…… 」
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作者名:きゃと | 作成日時:2022年8月24日 21時