◎ いち ページ2
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「 せんせー！！質問！ 」
『 全く…またか？見せてみろ 』
「 えっと……ここ、と、ここ 」
そう教科書に指を指しながら答えた。
この凛としてかっこいい女性はこのクラスの地理担当。
ジン先生だ。
皆から慕われており、勿論私もその1人。
『 ここは前にも教えたじゃないか
それに、暗記しろと言ったはずだ 』
「 あれ、そうだっけ？ 」
『 …… 』
先生はこちらを訝しげな表情で見ながらも
淡々と説明し始める。
真剣な表情で説明をする先生の横顔を見つめていると
その視線に気づいたのか説明を辞めこちらを覗き込んでくる。
「 なんですか先生、破廉恥な 」
『 真剣に聞かないなら説明しない 』
「 至って真剣ですよ 」
そう言うがジン先生はもう教材等を片付け始めていた。
それを不満そうな表情で見つめるも、華麗にスルーされ少し寂しくなる。
「 先生、好きです 」
『 …はぁ。そういうのは
例え同性であったとしても軽々しく口にしては駄目だ 』
「 …うぐ…すいませーん 」
『 ただ、その気持ちは嬉しく思う 』
「 先生…！！！！ 」
この会話だけで先生が皆から慕われる理由が何となく分かるだろう。
「 じゃあね先生！ 」
『 はいはい… 』
手を降ると、呆れたような表情をしながらも
振り返してくれた。
「 ……幸せ… 」
『 そんなに俺の授業が嬉しいのかな？ 』
「 んー……。え 」
「 …タルタリヤ 」
『 こら、先生をつけなきゃ駄目だろう？ 』
「 先生！！！ 」
いつの間に教室に入ってきていたのか。
ニコニコと捉えどころのない表情でそう話すのは
化学担当のタルタリヤ先生だ。
何を考えているか分からない為、話すのは少し苦手である。
「 さようなら！！ 」
『 待て待て待て。そんなに俺と話すのは嫌かい？ 』
「 嫌ではないです、多分 」
『 多分か… 』
タルタリヤ先生はそう呟きながら少し笑っていた。
『 まぁ、今じゃなくても
いつかジン先生と接する時みたいに話してくれる事を待ってるよ 』
「 … 」
やっぱり少し苦手である。
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作者名：きゃと | 作成日時：2022年8月24日 21時
