俺の部屋には妖怪が住んでいるようだ【BL】【オリジナル】

。。。肆拾伍 ページ47

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外はまだ雨が降っていて、雷も鳴っている


あれ、なんか、風も強くなってきてね…？


そんなこともお構い無しで麻呂は歩き出す



『ちょ、ちょっと待てって！』



「む？どうした？」



『いや、俺、帰り道知んねーから』



「そうか、なら余についてこれば良いのだ」



『ま、それはそうなんだけど…』



「なら、何も言わずに着いて来い」



麻呂は再び歩き出す


くそ、雷が怖いとか絶対言ったら馬鹿にされんだろ…



俺はびくつきながら、麻呂のあとを追う



沈黙が続き、雨の音が一段と耳に残る


あと、雷の音も……



その沈黙を破ったのは意外にも麻呂の方だった




「おい、人間」



そのとき、ばさっと顔に何かかけられる



『てめぇ、急に何すん…』



「寒かろう、着ておけ」



顔にかけられたのは、麻呂の羽織だった



『え、どうした…？』



「そんな顔で見るな、鬱陶しい」



ふい、と顔をそらす麻呂



「人間は______」



____馬鹿な生き物で、弱い生き物なのは知っておる



そう言った麻呂はどこか遠くを見つめる


雨で濡れた麻呂は色っぽくて綺麗だった



『そう、か…ありがとな』



「これくらい、どうってことない」



『なんだ、案外優しいじゃん』



自然と笑みがこぼれる



「案外とは余計だ、にんげ…否、A」



…！

今、名前呼んでくれた…！！



「では、帰ろうか」



おう！


そう言おうとした瞬間、天を裂くような雷が鳴り響いた


そして、空が光る



『ひぎゃぁっ！！！』



俺は思わずうずくまる


あ、やっちまった…

これ絶対馬鹿にされるやつ



「どうした、A」



麻呂は隣に腰を下ろし、俺の背中に手を置く



「む、まさか、雷が怖いのか？」



俺はこくこくと頷く


しかも腰抜けて立てないし…


すると隣からくすっと言う笑い声が聞こえる



『っ、馬鹿にすんな…！』



俺は麻呂を睨みつける



「済まない、馬鹿にしてるつもりはないんだ…ふふっ…しかし、お主が雷を苦手だと言うとは…」



むっ、として言い返そうとすると、



「可愛いところもあるではないか、A」



目に涙を浮かべて微笑む麻呂



『…あっ、そ…』



その笑みを見てしまった俺は言い返す気力をなくした



「ほら、手を出せ、雷からは余が守ってやろう」



俺はしぶしぶ手を出す

麻呂は手を引っ張り俺を立ち上がらせる



そして、雨の中、家に向かって歩き出した




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