【文豪ストレイドッグス】シャチはイルカを食べるのだ

シャチとイルカの共演2 ページ38

太宰から話を聞いてから、ますます頻繁に子供達に会いに行くようにしている。
ミミックが動き出した、と聞いてどことなく不安で、子供達の顔を見ておきたくなるのだ。
関わるつもりなど一切ないし、今は探偵社にいるし、大丈夫だと分かっていてもやはり不安だ。

子供達は相変わらず小さなギャングをやっていて、その騒がしさと日常に安心する。
一番年上の克己は未だにマフィアになると公言して憚らない。
私はもうマフィアではない、と言ってもきかない。
どうしたものか。

ちなみに、ここのカレー屋は私の数少ない担当店舗だったが、私が辞めた事により太宰に引き継がれた。
太宰曰く「今更カレー屋の一つや二つ増えたって変わんないよ」らしい。いきなり幹部直轄のカレー屋になるなんて、随分と出世したものだ。


私はミミックと全面対決するのならば、子供達を遠地に……それこそ中島敦が居たあの孤児院や、他の普通の孤児院に預けることも考えていた。
しかし、孤児院は託児所ではないし、また一気に5人もの子供を受け入れられるほど裕福な孤児院は少なかった。
彼らを離れ離れにさせるのは悲しい。
正規の手続きを踏めれば良かったのだが、生憎彼らは本来なら抗争で死んでたはずの子供達である。表社会の中に突如放り込めば、少年院行きかもしれない。それは避けたい。

色々言ったが結局のところ、私には子供達を手放すだけの覚悟はなかった。

今の織田作とミミックは無関係だし、太宰もいるなら押し留めてくれるだろう。
だとしたら、子供達と別れるメリットがどこにもない。ならば私は子供達と少しでも長い間、一緒にいたいと思うのが自然だろう。

大丈夫だ、原作とは違う。
織田作は死なないし、子供達も死なない。

ポートマフィア対ミミックの対決に、私は、私たちは一切関係ないのだから。

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