19！ ページ21
ひ○こクラブのせいで静かになった廃車工場で
けーちゃんは真っ直ぐマイキーの方へ向き直った。
けーちゃんが口を開く。
「もう、こいつから聞いてるんだろ。マイキー、俺が東卍を捨ててまでここにいるわけを。」
「……ああ。」
マイキーとけーちゃんは険しい、けれどどこか懐かしむような、納得しているような色を顔に浮かべた。
誰もが二人の会話に口を挟むべきてはないと、理解し次の言葉を待っているその時だった。
一匹の虎が苦痛に歪んだ声を上げた。
「やっぱりお前まで俺を裏切るのかよ場地ぃ‼︎‼︎」
大きく素早い動作で振り上げられた拳。
激昂と悲愴、その涙が叫ぶSOS。
このワンモーションが虎ちゃんの全てを語った。
不意をつかれたけーちゃんは避けれない。
怪我人に殴りかかってはいけないなんて、呑気なことは言ってられないから、体を張るしかない。
ゴッっ！
鈍い音、頬に衝撃の余韻と脈打つ痛み。
揺れる視界の隅で誰かが俺の名前を呼ぶのが聞こえた。
痛い。
モロに喰らった。
でも立たねえと。
あいつに、虎ちゃんに言わなきゃいけねぇんだ。
「落ち着けよ、虎ちゃん。
けーちゃんはお前を裏切ってなんかいねぇんだよ。
東卍を捨てて、バルハラに行ったのもお前の為なんだよ！
知らねぇだろ、けーちゃんはお前に東卍に戻ってきて欲しいんだってこと、お前が年少に行ったことをずっと負い目に感じてたこと、ずっとずっとお前のこと心配してたことも、
なーーーーーんも、しらねぇだろバカ虎ぁ！」
びくっ！と体を震わせた虎ちゃん、黒目がヒュッと小さくなって微かに揺れている。
動揺してるな。
俺が言い切ったところで、けーちゃんが言葉を紡いだ。
「一虎、
あのとき俺が言ったこと覚えてるか？
“この先どんな地獄が待っててもオレは最後まで一緒だから！！”
あの言葉に嘘はねぇ‼︎
お前が東卍に戻らねぇなら俺も戻らねぇし、
お前が恨まれてる分の恨みの半分は俺のもんだ‼︎
てもな、一虎！
俺にとってちゃ、
マイキーもお前も東卍も
全部大事なもんなんだよ‼︎‼︎」
けーちゃんの慟哭に近いような、言ってることがしっちゃかめっちゃかでも確かに真摯な想いが叫びとなって響く。
虎ちゃんはもう今にも泣きそうなほど目にいっぱい涙を溜めて、顔をくしゃくしゃにして耐えてる。
あともう少し。
憎しみと後悔を超えた仲直りまで。
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松茸ご飯 - 面白かった！続き書いて！ (6月18日 15時) (
レス) id: 280eb42424 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 受験頑張ってください！深夜さんの作品どれもとても面白いので更新再開する日を待ってますね！ (2021年10月25日 21時) (レス) @page32 id: 2b8458c6a1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜(プロフ) - 夢花さん» コメントありがとうございます！御影家の長男坊、気に入って頂けて何よりです！応援もありがとうございます！ (2021年10月16日 11時) (レス) id: 290b0aad53 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(プロフ) - 初めまして!男主ってあんまり好きじゃなかったんですけど、御影くんは大好きです!!!これからも頑張ってください!!! (2021年10月16日 10時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
深夜(プロフ) - 抹茶あいすさん» いえいえ、楽しんで貰えるのはやっぱり嬉しーです！更新亀さんですが、頑張ります！ありがとう！ (2021年10月7日 19時) (レス) id: 290b0aad53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深夜 | 作成日時：2021年9月18日 2時
