恋は戦争【TH×You×JK】

8. TH side ページ8

【TH side】


やらかした。
完全にやらかした。




「もう、終わりだ…」





ファミレスのテーブルに額をつけてうなだれると、
ジミンが面白そうに写真を撮った。





「それが絶望してるソウルメイトへの振る舞いデスカ」




「いや、だってテヒョンが失恋したなんて激レアだし。インスタにあげとこうと思って」




うるさい。笑うなバカ。
てゆうか、まだ失恋してないわ。





「それにしても、百戦錬磨のテヒョンがキスを拒まれるなんてねー」




「それ、何回も言わないで…今ジミンが思ってる数倍メンタルやられてるから」




入学式で見かけた女の子。





少し高めの身長、



色素の薄いサラサラの髪、



凛と伸びた背筋。




スタイルの良さで一際目立つ後ろ姿だったけど、
振り向いた時に一瞬見えた顔が、
正直、ドンピシャでタイプで。





履修登録で困っていたから、
声をかけて、あわよくば番号聞いとこー、
なんて思ってたら…






『あ、結構です』







つれない返事に思わず笑っちゃった。





長いまつ毛の大きな瞳、
コーラルピンクの唇、
白くてきめ細やかな肌。





ナチュラルメイクでこれだけ淡麗な子っているのかな。
少なくとも俺の知り合いにはいないかも。
そんで、俺が話しかけて喜ばない女の子も。





てゆうか、見た目はもちろんなんだけど、
凛と伸ばした背筋とか、
俺を危険因子とみなしてきっぱり突き放すところとか、



彼女の意思の強さを物語っていて、
なんだかすごくいいなだと思った。





普段、人の名前を覚えない俺が、
入学資料の入った封筒に書いてある【A】の
名前をしっかりと脳に刻んだのは、言うまでもなく。





これっきりなんて嫌だったから、
俺が出席している授業をサクサク登録して、








「俺、テヒョン、覚えてね」








今考えたら、必死すぎて、恥ずかしい。

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