恋は戦争【TH×You×JK】

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「真面目に聞いてくださいよ。僕の周りでこうゆう相談できるのヒョンしかいないのに」




「じゃあ俺に一回会わせてよ。お前に合うか品定めしてあげる」




ふふっと笑うヒョン。
僕は冷や汗をかく。



「…それだけは絶対…まじでやめてください」



「それ、アイツにも言われたわ。じゃーね」




待ってって言う前に電話を切られてしまった。
全く、ひどい兄貴分だ。



でも焦ることはないし。
徐々に仲良くなってはきてるし。



そう、コツコツ積み重ねていけばいいんだ。










って、この時までは思ってた。









「え…キス…って…え?」



その日は、Aにしては珍しく、
いつになくボーッとしていた。




皿を割ったり、躓いたり、
オーダーを間違えたり。




心配になって声をかけたバイト終わり、
缶ビールを片手に公園で乾杯をすると、
Aが顔を真っ赤にして言った。




“キス、された”



まさに青天の霹靂。
心臓が一回大きく爆ぜて、
そこから速まった鼓動が鎮まらなくて。




「だ、誰に…?」




口に?ほっぺに?!
いや、それ聞くの必死すぎだろ。




Aは缶をベンチに置いて、
両手で頬を包むような仕草をした。




『同じ大学の先輩で、すっごくモテる人。やっぱり、ああいう人からしたら、キスくらい挨拶みたいなものなのかなぁ』




この時、僕は思い知った。




僕は、とっくにこの子が好きだったってこと。




なんとなく気になるし、
なんとなく他の人が絡むのが気に入らない、
なんてレベルじゃなかったってこと。




「挨拶でキスって、そんなチャラい感じの人なの?」




『噂だとね。話した感じはむしろ…真逆のイメージだったけど』



「でも行動はチャラいじゃん。もう絡むのやめれば?」


　


むしろ、やめてほしい。
絡まないでよ。






夜の公園は夏草の香りと、
ギーチョギーチョと鳴く虫の声と、
大通りでチラチラ影を燈す赤色灯とで、
静かな癖に騒がしい。
　




僕の胸のざわざわも止まらない。



『うん、普段から絡んでるわけではないんだ。同じ授業をいくつかとってて…』




「Aは、その人のことが好きなの?」





『ううん、分かんない。本当に、全然話したことないの。でも…』





この会話の最後につく“でも”は、
僕にとって聞きたくない言葉を繋ぐ
接続詞に決まってる。

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