恋は戦争【TH×You×JK】

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「はいまた敬語ー」




『あぁッ!』




涙目になったAが、異様に可愛くて、僕は頬杖をついたままずっとずっと眺めてた。




Aは、フェアじゃないと言って、ぷりぷりしながら口を尖らせた。



どうやら、僕はこの子に、少しずつ惹かれていってるらしい








『グク、先にまかないもらうね』




Aが敬語を使わなくなってから一ヶ月。
僕達は、なかなか順調に距離を縮めていた。




「え、ステーキ?」



『今日とっても豪華だよね、何でだろ』




多分、豪華なのはAだけだよ
とはあえて言わなかった。
　


キッチンのヒョン達はAが大好き。



美味しかったです、と言ってもらうために、
Aのまかないだけ特別にいい肉を使ったりする。




「ヒョン、僕のまかないなんですか」




「炒飯だよ炒飯!」




うん。この格差ね。
職権乱用も甚だしい。
　




Aは変わらずポーカーフェイスだけど、
会話の量は前より断然増えたと思う。




なのに、いつ飲みに誘っても、
今日は駄目とか、課題があって、とか、
歯切れの悪い返ししかこなかった。




他の誰かなら全く気にしないし執着もしないのに、
Aに断られると
この世の終わりみたいな気持ちになるし、




これからデートなんじゃないかとか、
彼氏がいるのかとか、
勝手に頭が妄想してしまって、辛い。








「ジミニヒョン、これが恋なんですかね」





「なんなの最近俺の周り。恋かどうか確かめるの流行ってんの?」





飲みを断られた夜、地元も専門学校も同じ
ジミニヒョンに電話すると、
物凄く面倒くさそうにそう言われてしまった。





「まぁ女だったら誰でもいいヒョンに聞いても分からないですよね」




「電話かけて来といてディスられる俺、マジで可哀想」




電話の向こうから、よしよしと言う
女の人の甘い声が聞こえる。
金曜日のこの時間だし一人ではないと思ってたけど。




「で、もうヤッたのその子とは?」




「ヤ るわけないでしょ、付き合ってもないのに。それにAは真面目なんですよ」




「え?その子もAって言うの?」




「その子もって?」




しばらく無言で、いや、ないないと
独り言を言ったヒョンは、



「好きじゃなくても勃つし、気にしなくてもいんじゃないの」



って、あっさり吐き捨てた。

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