検索窓
今日:2 hit、昨日:36 hit、合計:62,209 hit

22 ページ22

手渡されたのは、
火傷に塗る軟膏とガーゼと防水シートだった。





「これだけのために待ってたの?」




『はい。では、お疲れ様でした』






ぺこりと頭を下げたA。






そして、そのまま背を向けたから、




「待って」




思わず呼び止めてしまった。




Aが振り返る。
夜風にサラサラの髪が舞う。




どうしよう、用もないのに。




いや、でも。
そうだ。




もう、女のコが一人で歩く時間じゃないし。




「駅まで送るよ」




『?…同じ方向なんですか?』




「あ、いや、僕はこっちなんだけど」




『では大丈夫です』




僕に背中を向けて
スタスタ歩いていってしまったA。




くそっ!
なんで反対方向なんて言ってしまったんだッ!




何より、今までこういった誘いを
断られたことがなかったから、
どうしていいかわからず、





しばらく悩んだけど、
結局意地になって
Aを追いかけてしまった。






最寄りはターミナル駅だから、
もう23時を回っているのに結構人通りはある。





痴漢とかの心配はないけど、
その分、酔っぱらいは多いから
絡まれたらするんじゃないかって…。





思っていたら、案の定絡まれてた。




肩を組んだ二人組の若いサラリーマンが、
Aの行く手を阻んで、ニヤニヤ笑っている。





同じ男だから分かる、
やらしいこと考えてる顔。





僕は早足でAに近付き、
手を掴んだ。





「なにしてんの」
 



『え?』




振り向いたAが、驚いて僕を見た。




「早く行こ」





そのまま手を引いて、
強引に連れ去る。




男達の舌打ちが聞こえて
足を止めそうになったけど
今のこの気持ちのまま対峙してしまうと
喧嘩に発展しそうだったから、
なんとか我慢した。





『あの、ジョングクさん』




「大人しく送られてればこんなことにならなかったと思うよ」




『ナンパじゃないですよ。ただ○○町までの道を聞かれただけで』




「………まさか連れてってとか言われてないよね?」




『言われましたけど、分からなかったので道を調べてるところでした』




「はぁ。それ、ホテル街だよ」




『え…』




「連れ込もうとしてたんだよ」




Aのヒールの音が乱れて、
はっとする。



僕は手を掴んだまま、
随分な速歩きをしていたようだ。




振り向くと、顔を赤くしたAが俯いてて、
慌てて手を離した。




可愛くて僕も、耳が熱くなる。
初めて見る表情だ。

23→←21



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (225 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
720人がお気に入り
設定タグ:BTS , ジョングク , テヒョン   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

オサナイ(プロフ) -                   さん» コメントありがとうございます^⁠_⁠^停止してしまっていてすみません。。タイミング見ながら進めたいと思います! (2022年11月15日 0時) (レス) id: 2a01e4e00e (このIDを非表示/違反報告)
                   - 更新楽しみにしてます! (2022年11月12日 2時) (レス) id: cfb035f70c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ips403さん» いつも感想ありがとうございます♡こちら改行含め手直ししたいと思ってますー!自分でも話忘れてるのでお待ち下さいw (2022年8月25日 14時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
ips403(プロフ) - オサナイさん、いつも作品楽しく何度も何度も読ませていただいております!言葉のチョイスや表現のセンスが素晴らしくてどんどん読み進めちゃいます!このお話しも大好きなのでお忙しいと思いますが更新楽しみにまってます❤️ (2022年8月21日 12時) (レス) @page28 id: 9fa96337fd (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - 猫のペルシャさん» わーありがとうございます!^_^更新停止してしまっているにも関わらず、ご評価頂けて嬉しいです^_^ (2022年8月3日 23時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:オサナイ | 作成日時:2022年1月8日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。