恋は戦争【TH×You×JK】

19.JK side ページ19

【JK side】


初めてAに会った時、
正直面倒臭いと思った。




「ジョングクー!今日から入ったAちゃん!教育係よろしくね」




店長にそう言われて、
あぁ、女のコの教育係ってだるいんだよなって。






「なんで僕なんですか?」




「君と同い年だから。よろしくー」




あからさまに態度に出したのに、
店長の背後に立ったAは、
そんなこと気にする素振りもなく、





『よろしくお願いします』




って、真顔で頭を下げた。





隣で先輩が、




「えー、めっちゃ可愛いじゃーん」





って小突いてくる。




そう、可愛い。
だから嫌なんだ。
可愛い女のコほどやっかいなものはない。





なまじっか自分に自信があるもんだから、
上目遣いしたり、ベタベタ触ってきたり、
癇に障る声で質問ラッシュしてきたり。




ここ何ヶ月か、新人に教えて、
勘違いされて、告白されて、
フッては辞めてを繰り返してる。




非常に面倒くさい。





「だったら先輩が代わりますか?」




とりあえずそう言って、
俺はお前に気なんかないんだぞと先にアピールをしておく。
はっきり言ってめっちゃ嫌な奴だ。





「開店準備教えるからこっちきて。ここから1卓、あっちが20卓。そっちの廊下いくと個室が3部屋あるから、まずは全部のテーブル拭いて、メニューを整えてくれる?」




『分かりました』




Aは、ウエスを渡すと、
余計なことを話すこともなく、
コツコツ黙々とタスクをこなした。




おしゃれな内装のイタリアンバル。
個室もある割には客単価もそれほど高くないから、
大学生やら社会人やらでいつもごった返している。




できれば早く戦力化したいけど、
あんまり接したくはないのが正直なところだし、
どうせ辞めるなら、いっそ早くやめてほしいなー
なんて思ってたら、




『あの』




「なに」




『終わりました』




「じゃあ開店まで、このメニュー見て覚えてて」




『覚えてきました』




「え?」




『バイト合格したときに、メニューお借りしたので』





別に褒めてほしそうな訳でもなく、
ただ単に事実を淡々と述べてるような、
そんな感じの話し方に、少し好感が持てた。




しかも真面目に覚えてきてるって、
そんな子も初めて。




真ん丸な目を見つめると、
恥ずかしがることもなく、
赤くなるわけでも上目遣いになるわけでもなく、




『なにか?』




と小首をかしげた。





この人は、今までの子達となんか違うかも。

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