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先輩は耳まで真っ赤にして
勘弁してよとため息をついた。




「もう…それ、笑顔。俺以外に絶対見せないでって、彼氏ならば言いたい」



テヒョン先輩は、相変わらず私のすぐ後ろを歩いた。




夏の夜の匂いも、
テヒョン先輩の低い声も、
三日月も、アルタイルも、




全部全部心地よくて、
私のチクチクした胸をスッと鎮めてくれた。




もし、私がコンビニに現れなかったら、
一体何日待ち続けたんだろう。







「ん、雨?」




『え?』





ポツリ、と一粒の雨が頬に落ちてきた。
それを皮切りに、次から次へと
あ、遠くのほうで稲光。
 




「やば!A、コレかぶって」




『わッ』




「走れる?」




テヒョン先輩が羽織っていたパーカーを
頭から被せられて、グンと手を引かれた。




うわ。




先輩の香水の匂いと、ほんのり感じる体温。
これが、思った以上に生々しい。




意識すればするほどうまく息ができないし、
体はどんどん熱くなっていくし、
心臓が、ドクンドクンうるさくて。



この動機が先輩に聞こえてしまうんじゃないかって、
馬鹿みたいに心配した。
 




どうか

私の手首を握る、先輩の手から、
私の体温が伝わりませんように。







 
雨は容赦なく振り続けて、
先輩のパーカーは、絞らずとも水が滴るくらいに
雨を含んでずっしり重たくなった。




もちろん、私が着ていたTシャツもスキニーも
無事ではなく、どこもかしこもびしょ濡れだった。




『で、このマンションは…』




「ごめん、俺んち。近かったから」




『あの…』




「そんな顔しなくても、とって食べたりしないよ」




可笑しそうに笑った先輩。
私はそんなに不安そうな顔をしていたのだろうか。


水もしたたる何とやら、という言葉があるように、
濡れた髪をかきあげる先輩は、写真集の一頁みたい。




「しばらく止みそうにないから、うちで服乾かしていきな」





『でも』




「神様、仏様、ジミン様に誓って変なことしない、絶対」




『ジミン様?』




「なんならずっと目隠しして縛り付けてくれてもいいよ」




『そっちのほうが怪しいじゃないですか』





私の返事を聞くまでもなく、
先輩はエレベーターのボタンを押して
乗り込んでしまった。




こういうとき、
どんな顔をしてついていくのが正解なんだろう。




先輩が、「今日は透けてなくて良かった」
と言って笑ったから、あの日のことを思い出して、
先輩の背中を叩いた。

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設定タグ:BTS , ジョングク , テヒョン   
作品ジャンル:タレント
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オサナイ(プロフ) -                   さん» コメントありがとうございます^⁠_⁠^停止してしまっていてすみません。。タイミング見ながら進めたいと思います! (2022年11月15日 0時) (レス) id: 2a01e4e00e (このIDを非表示/違反報告)
                   - 更新楽しみにしてます! (2022年11月12日 2時) (レス) id: cfb035f70c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ips403さん» いつも感想ありがとうございます♡こちら改行含め手直ししたいと思ってますー!自分でも話忘れてるのでお待ち下さいw (2022年8月25日 14時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
ips403(プロフ) - オサナイさん、いつも作品楽しく何度も何度も読ませていただいております!言葉のチョイスや表現のセンスが素晴らしくてどんどん読み進めちゃいます!このお話しも大好きなのでお忙しいと思いますが更新楽しみにまってます❤️ (2022年8月21日 12時) (レス) @page28 id: 9fa96337fd (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - 猫のペルシャさん» わーありがとうございます!^_^更新停止してしまっているにも関わらず、ご評価頂けて嬉しいです^_^ (2022年8月3日 23時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年1月8日 21時

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