恋は戦争【TH×You×JK】

11.JM side ページ11

【JM side】


最近、親友の様子がおかしい。





突然呼び出されて、





「これが恋なのかな」




なんて最高にらしくないことを言われたのが数ヶ月前。






それからことあるごとに呼び出されて、





「今日は比較言語学の授業で一緒だった」





だの




「カフェテラスで隣の隣の席に座った」





だの、






遅々として進まない中学生の
初恋みたいな話を延々されたかと思いきや、






今日はファミレスで会うなり
テーブルに伏せたまま屍のような顔で
「もうだめだ」「もう終わりだ」と繰り返している。






　
「だいたいさー2回しか話したことないのに、何がそんなに好きなわけ?」






そんな簡単に人のこと、
好きになれるもんなのかね。
俺には全く分からない。
テヒョンも前までそうだった癖に。







「だって、噂とか見た目じゃなくて。
ちゃんと俺のこと理解してくれようとしたんだ。
目の前にいる、俺の表情とか声で」





そんなの初めてだったって、
泣きそうな声で言う親友は、
冷めたピザの皿を見つめたまま、
今にも消えてしまいそう。






テヒョンは夏が嫌い。
実はナンパのダシにされるのも、
性 欲丸出しでギラギラする女の子も苦手なんだよね。





来る者拒まずで、駄目なほどに優しくて、
絶妙にいい加減な性格故に勘違いされがちだけどさ。





「てか2回しか話してないって言うけど、心の中では何万回も話してるからね」





「…引いていい?別にドヤ顔する所じゃないから。心の会話は有効接触にカウントしないから。で、芸能人でいったら誰に似てるの?」





「は?女神だし」






「本当、頭大丈夫?」





「いんや…だめかもしれない」





だめだろ。
でも、嫌いじゃないよ。少し寂しいだけで。




初恋で浮かれて、失恋で傷心してる親友は、
まだ慣れないけど、前より温度があって、
生きてるって感じがした。





「そんな好きならキスしなきゃ良かったのに」





「ジミナ。濡れた髪の、いい匂いする女の子が、雨で透けたブラウスまとってゼロ距離にいたらもう無理だって…。ましてや好きな子だし。我慢できなかった…理性が働かなかったよ」





コーラに入っていた氷をテーブルに
滑らせてうなだれるテヒョン。





「ちゃん謝るべき。で、傘も返しな?」





「うん。…うん。そうする」





それにしても、テヒョンをこんな風にしてしまうAって、一体どんな子なんだろう。

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