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俺はと言えば、深夜に始まる会議で三日連続のボツをくらい、イライラがピークに達して、眠れないし食欲もない生活を送っていた。
『オンマ?え、あ、うん。なんのトラブルもないよ、アハ、アハハハ』
そんな時、ベランダから聞こえてきた、あの人の焦った声。
「プッ。嘘つくの下手すぎ」
あんな声色じゃ、トラブルの真っ最中なの、バレバレなんじゃないの?
まぁ借りようと思ってた家がシェアハウスで、しかも男と住んでますなんて言えないもんな。
不動産屋の老夫婦のバレバレの演技も信じ切って同情しちゃってるし。
感情むき出しだし、素直そうだし、絶対、騙されやすいタイプの奴だ。
電話の声が聞こえなくなったから、バレないようにちらりとベランダを覗くと、
夜風をうけて気持ちよさそうに目を細める横顔が見えた。
「は、マジかよ」
キャミソールにショートパンツって。
俺のこと、全くもって警戒してないんだな。
本当、馬鹿じゃん。
しかも、すぐ出てかなきゃいけないけないのに、プランターにバジルなんて植えてるし。
『早く大きくなってね。ガパオとピザ、どっちになりたい?』
話しかけながら水やりしてるし。
でも。
煮詰まっていたからか、
月明かりを背負ったその優しい眼差しに、ちょっと泣きそうになる。
もちろん …眼差しの先はもちろん俺じゃなくてバジルなんだけど。
四日目の夜。
さすがにそろそろ何か食べなきゃと思って、ふらつく体を引きずりながら部屋を出ると、珍しくあの人がリビングで食事をしていた。
食欲をそそるプルコギの匂い。
俺をチラ見して無視したくせに、顔色が悪いからって、飯を恵んでくれると言う。
「…どうせ食べたらなんかしなきゃいけないんでしょ」
『んえ?』
「だから、俺にご飯あげてあんたに何かメリットあるんですかって話。俺になにかしてほしいからくれるんじゃなくって?」
俺が訝しげにそう言うと、本当に意味が分からないと言った表情で、一瞬ポカンとした。
だって、たいていの女は、見返りを求めてくるから。
そもそも、頼んでもいないのにご飯作り始めたりする
俺の気を引くために作ったのが見え見えで、点数稼ぎだと思った瞬間に引いちゃって…結局食欲も失せた。
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オサナイ(プロフ) - namiの部屋さん» namiの部屋様、嬉しいコメントありがとうございます^_^サディスティックなグクちゃんもいいですよね♡わかりみが深すぎますw (2022年9月24日 21時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
namiの部屋(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど我慢できずにコメントさせていただきました!何年もうらつく愛読してますが久しぶりに私のドストライクの小説と出会えました!!このドSグクのキャラ最高です大好きです!引き続き楽しく読ませていただきます!更新頑張ってください! (2022年9月24日 14時) (レス) @page13 id: bde19c8f5c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ukさん» uk様、勿体ないお言葉ありがとうございます;勿体なさすぎて焦りますwこれからも悶絶していただけるようにw、頑張って更新しますー! (2022年9月3日 11時) (レス) id: 507e311f10 (このIDを非表示/違反報告)
uk(プロフ) - て、天才なのでしょうかと何度も思いました。オサナイ様の書くグクが可愛くてかっこよくて何度悶絶したか…。続きを読むのを楽しみにしてます。 (2022年8月31日 18時) (レス) @page50 id: 1deb3068ed (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - せなさん» せな様、感想ありがとうございます♡勿体ないお言葉でございますッ。グクテテ、バチバチしてますね笑 たくさんたくさんバチバチします、これからもきっと笑 (2022年8月30日 19時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年8月11日 19時