最低な同居人【JK】

恋に患う奴×JK ページ46

「どうしたらいいんでしょう、ヒョン」






「なにが?」






細い目をさらに細めて、
ユンギヒョンが舐めるように
ウイスキーを飲んだ。







何がって。
話聞いてなかったなこの人。






いつものバー。
いつもの特等席。






俺の隣に座るユンギヒョンは、
以前仕事でお世話になった、
音楽プロデューサーで、






俺が知る人の中で、
最もスマートにモテる人だ。







「だから、好きな子がいるんですけど」







「おん」







「タイプじゃないって言われてるんです」







「じゃあ無理なんじゃない?」







え。




無理なんだ。




俺が固まると、
キュッキュと奇妙な笑い方で、
ジンヒョンが割って入る。







「ヤー!ジョングガ、ユンギに聞いてどうすんの笑。コイツが慰めてくれるなんて思わない方がいいよ笑」







「俺は慰めて欲しい訳じゃないんですよ、アドバイスが欲しいんです」








だってヒョンはモテる。
本当にモテる。







ツンデレ属性のおかげで、
本人は省エネモードなのに、
相手の方からガンガン来る。






ツンとデレの比率が絶妙で、
それが女の人の心を掴んで離さないらしい。








「まずは相手の好きなタイプを聞いてみたら?」








ほぅ。




なるほど。
さすがユンギヒョン。




確かにそれは重要だ。
参考になるに違いない。






「まぁ、聞いたとてだけどな。相手の好きなタイプに無理矢理合わせて付き合えたとしても、結局はお前自身が疲弊して終わるだろうし」






「夢も希望もないこと言わないでください。ただでさえ他の男がチラついてるのに」






なんかヒョン、楽しんでない?
ニヤニヤしてるし。







「他の男ね、俺だったら、多少強引にいくかもね」





「え」






強引に…。
なにそれドキドキする。






「まずは相手に意識させる。他に男がいるなら、その男を牽制する」






「ど、どうやって?」







「キスするとか」






「キ…」





キス!!




Aとキスッ!!







「そりゃしたいですけども、嫌われたり拒まれたりしたら…」






「でも相手は必ずお前を意識するよ」







確かに。




あの鈍感星からやってきた鈍感王女には
それくらいしないと気づかれさえしないかも。





「わー、女の子ホイホイのジョングガが、キスごときで顔真っ赤にしてるよ笑」





「ジンヒョン、からかわないでください。俺、真剣なんですよ」

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す