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ジョングクの言葉からは、
抽象的なことしか分からなかったけど、
もしかしたら、こんな風に、
背中を丸めて暗闇におびえてたことが
あったのかもしれない。
太陽が昇るのをただひたすら
待っていたのかもしれない。
「昔から生きていきにくいタイプだった。人見知りだし、人とうまくやっていけない癖にそこそこ何でもできるから、恨み買ったことだって、何度もあるし」
『うん』
「でも、絵を書いてる時は気持ちが楽だったんだ。だから、今の仕事をしてるんだけど」
背中合わせだから見えないけど、
ジョングクはきっとまだ、顔を上げてない。
声が、コンクリートに反響して聞こえる。
まるで、深海にいるみたいに。
「一度成功したら、次も当然成功するもんだって、そうゆう周りの期待とか、メディアの報道とか、色々苦しくなって、ある日突然絵が書けなくなった」
『…』
「そうなると、最初の成果だって、まぐれだって蔑まれるようになって。そのうち、俺のことを評価してくれた人も、どんどん消えてった」
『…』
「でも、ハンナだけは側にいてくれたんだ。俺は一人ぼっちで、才能もないし、俺のことなんて誰も好きにならないって…毎晩毎晩、否定するけど。でも私は好よって必ず、最後には…」
『…それって…』
「分かってる、今考えたら洗脳みたいなもんだったんだって。でも、あの時の俺にはハンナしかいなかったから。ハンナがいなくなったら俺は、海の底に一人ぼっちのまま、もう二度と、空なんて拝めない気がした」
毎日毎日聞かされる、
否定の声に耳を塞いで、
最後の肯定の言葉が来るまで、
じっと耐えていたジョングクのことを思う。
どれだけ、悲しかっただろう。
寂しかっただろう。
それでも、ハンナさんのことを想い続けたジョングクは…。
「まぁそのハンナにも、結局あっさり捨てられたけどね。なんで今更連絡してきたのか」
『電話、出なかったの?』
「出たところで、なんになるの?俺は結局…、ハンナの言うとおり、いつも一人だし、誰にも愛されないし、才能もない、くだらない人間だよ」
『…なに、言ってんの』
振り向いて、ジョングクの真正面に座った。
ジョングクは、顔を上げたけど、
やっぱりこっちを見ることなく
視線をコンクリートに落としてる。
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オサナイ(プロフ) - namiの部屋さん» namiの部屋様、嬉しいコメントありがとうございます^_^サディスティックなグクちゃんもいいですよね♡わかりみが深すぎますw (2022年9月24日 21時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
namiの部屋(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど我慢できずにコメントさせていただきました!何年もうらつく愛読してますが久しぶりに私のドストライクの小説と出会えました!!このドSグクのキャラ最高です大好きです!引き続き楽しく読ませていただきます!更新頑張ってください! (2022年9月24日 14時) (レス) @page13 id: bde19c8f5c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ukさん» uk様、勿体ないお言葉ありがとうございます;勿体なさすぎて焦りますwこれからも悶絶していただけるようにw、頑張って更新しますー! (2022年9月3日 11時) (レス) id: 507e311f10 (このIDを非表示/違反報告)
uk(プロフ) - て、天才なのでしょうかと何度も思いました。オサナイ様の書くグクが可愛くてかっこよくて何度悶絶したか…。続きを読むのを楽しみにしてます。 (2022年8月31日 18時) (レス) @page50 id: 1deb3068ed (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - せなさん» せな様、感想ありがとうございます♡勿体ないお言葉でございますッ。グクテテ、バチバチしてますね笑 たくさんたくさんバチバチします、これからもきっと笑 (2022年8月30日 19時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年8月11日 19時