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これだけ暗くても、はっきり分かる。
赤い頬も耳も。
じゃあ、今の俺の顔は?
『ジョングクって本当に…自信に満ちてるよね』
「あんたには、そう見えるの?」
『見えるもなにも、王様じゃん』
「…自信なんてないけどね。俺なんて本当、どうしようもない、くだらない男だよ」
『…』
「なに」
『いや、ジョングクでもそんなこと言うんだと思って』
「幻滅した?」
拒絶の言葉が怖くなって、
手を離そうとしたら、
『いや、むしろ嬉しい』
「は?」
Aが、指先を優しく、
きゅっと握って。
『ジョングクも弱いんだね。そうだよね。おんなじ人間だもんね。じゃあさ、弱点を見つけたら、政権交代で私が女王として君臨できる日も近いってわけだ』
意地悪そうに、ニンマァと笑った。
なに、コイツ。
『愚民よ、たまにはゴミ出ししなさい!』
本当…。
コイツって…。
『わッ!』
繋いだ手を引き寄せて、
強く抱きしめる。
『ジョングク!?な、に?!』
「…うるさい」
『………震えてるの?』
「バカがうつりそうで怖いから」
『そんなに怯えてるんだ?!』
そう、怖い。
俺の腕の中にすっぽり収まってしまった、
この小さくて柔らかな存在が、
どんどん俺の中で大きくなっていくのが怖かった。
もう、人を好きにならないって、
決めたのに。
『ジョングク…?』
“あなたは結局いつも一人ぼっちなの”
そうだったね、
決めたんだ俺。
同じ轍を踏まないように。
だったら、これも、ただの気まぐれだ。
「…飯、早く作ってよね」
今度は突き放すようにAを遠ざけると、
背中を向けて歩き出す。
Aの足音は…まだ聞こえないけど。
しばらくしてから、3歩後ろくらいの距離で、
ヒールの音が聞こえ始めた。
『……お、欧米みたいなスキンシップやめてくれるかな?!』
「…そんなの王様の勝手でしょ」
『ジョングクは矛盾が多すぎてよくわかんない』
「あっそ」
矛盾か。
そんなん、俺だって。
俺だって、分からないよ。
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オサナイ(プロフ) - namiの部屋さん» namiの部屋様、嬉しいコメントありがとうございます^_^サディスティックなグクちゃんもいいですよね♡わかりみが深すぎますw (2022年9月24日 21時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
namiの部屋(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど我慢できずにコメントさせていただきました!何年もうらつく愛読してますが久しぶりに私のドストライクの小説と出会えました!!このドSグクのキャラ最高です大好きです!引き続き楽しく読ませていただきます!更新頑張ってください! (2022年9月24日 14時) (レス) @page13 id: bde19c8f5c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ukさん» uk様、勿体ないお言葉ありがとうございます;勿体なさすぎて焦りますwこれからも悶絶していただけるようにw、頑張って更新しますー! (2022年9月3日 11時) (レス) id: 507e311f10 (このIDを非表示/違反報告)
uk(プロフ) - て、天才なのでしょうかと何度も思いました。オサナイ様の書くグクが可愛くてかっこよくて何度悶絶したか…。続きを読むのを楽しみにしてます。 (2022年8月31日 18時) (レス) @page50 id: 1deb3068ed (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - せなさん» せな様、感想ありがとうございます♡勿体ないお言葉でございますッ。グクテテ、バチバチしてますね笑 たくさんたくさんバチバチします、これからもきっと笑 (2022年8月30日 19時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年8月11日 19時