最低な同居人【JK】

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『あの…はぁ。じゃあ…一ヶ月以内に新しい部屋、見つけてくれますか』





「はぁい、もちろん♡」






結局折れて、血迷った判断をしてしまったのでした。





ああ。


新生活の第一歩を大きく踏み外した気分。




不動産屋を出て、マンションに向かう足取りは重いのに、さっきからまた一言も話さなくなった不機嫌そうなイケメンとの距離感が気まずくて、なんとか足を速める。

　





『あの、』






「…なに」






『期間限定とはいえ、これから宜しくお願いします』






「宜しくする必要ないでしょ、すぐに出てくのに」






『…ああそうですか』






「ただのルームシェアなんだから、間違っても彼女面しないでね」





『は?』





うざッ。



うっざッ!



なんて失礼な人なの。



こっちだって宜しくする気なんてないし。





この気まずい沈黙をなんとかやりすごすための、ただの社交辞令だっつの!







『安心してください、タイプじゃないんで』






「あっそ。それは良かった。絶対惚れないでね」






『惚 れ る か ッ』






敬語でしゃべることも忘れて睨みつけると、さっきの不機嫌そうな顔から一転。






ふ、と小さく笑った。






悔しいけど、イケメンなんだよな。


部屋に戻ると、私の荷物は既に中に運ばれていて、




筋骨隆々のお兄さんから完了のサインを求められただけであっさりと終わった。





　
冷蔵庫や洗濯機は備え付けだったから、段ボール数箱とベッド、ローテーブル、テレビくらいしか運ぶものがなかったもんね。






ここが暫くの城になる…か。






玄関を入ってすぐ左手にお風呂とトイレ。





廊下を抜けてリビングとキッチンがあって、そこから部屋が2つ並んでる。





チョンさんが日当たりのよくない左側の部屋に荷物を運んでいたお陰で、私は自ずと日当たり良好で窓が2つある部屋を使えることになった。





そんな彼はといえば、玄関で靴を脱ぐなり、





「干渉しないで、話しかけないで、不可侵条約だからね。あと部屋に入ってくるとか言語道断だから」





とまくし立てて、わざとか知らないけど大きな音をたててドアを閉めたきり出てこない。




本当に、この男…。




うさぎみたいに可愛い顔して生意気すぎる。




しばきたい。

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