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なんとなく、だけど、
少しずつジョングクのことが分かってきた。
…ような気がする、がきっと正しい。
私は彼がなんの仕事をしてる、
どんな生い立ちの人かも知らないし、
血液型も誕生日も好きな食べ物も知らないけど、
ぶっきらぼうで、言い方は怖いけど、
本当はとっても優しい人だってことは知ってるし、
それは血液型や誕生日を知ることよりも
尊いような気がした。
ちらり、と冷蔵庫を見ると、
シロクマのマグネットで留めたカレンダーの、
今日の日付に丸がついていて、笑った。
『いつの間に』
意味もなく、その赤い丸を指でなぞる。
今日は早く帰ろう。
「カトク」
『え?』
パンプスを履いて家を出ようとした時、
人のベッドで二度寝をきめこんでいたはずの
ジョングクが、寝ぼけ眼で玄関に来た。
「だから、カトク教えてって言ってんの。俺のこと、延々駅で待たすつもり?」
『え、本当に迎えに来てくれるの?』
「うん」
まだ夢と現実の狭間にいるせいか、
頷き方が素直で可愛い。
『じゃあ…お願いします』
カトクを交換して、電話番号も送る。
ジョングクのアイコンは、
今話題になってるデザイナーさんの抽象画で、
初めて彼の趣味嗜好に触れた気がした。
『あ、私もこの人のデザイン好きだよ』
好きなブランドとコラボした
キーホルダーをバッグから取り出して見せると、
さっきまでぼんやりしていた目がカッと開いた。
『キラキラした夜がぎゅって詰まったみたいな色が好き』
「あ…そう」
『え、なに。あげないよ、気に入ってるんだから』
「いらない」
俯いたジョングクは、
なぜか耳を赤くしている。
『なんで照れてるの』
「照れてないし。早く行けば」
『変なのー怪しいー』
私がニヤニヤすると、早く行けと蹴られた。
変なの。
でも、こんな表情も初めて見る。
それがやけに嬉しかった。
『行ってきます』
「…らっしゃい」
『やばい、挨拶できるんだ…ちょっと感動』
「それはしゃべるロボットを初めて見た人が抱いていい感想だよ」
うざったそうな顔をしたジョングクは、
私が手を振ると、シッシと片手を振った。
ピアスだらけの耳がまだ赤いのが可愛かった。
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オサナイ(プロフ) - namiの部屋さん» namiの部屋様、嬉しいコメントありがとうございます^_^サディスティックなグクちゃんもいいですよね♡わかりみが深すぎますw (2022年9月24日 21時) (レス) id: 5bc8bd2025 (このIDを非表示/違反報告)
namiの部屋(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど我慢できずにコメントさせていただきました!何年もうらつく愛読してますが久しぶりに私のドストライクの小説と出会えました!!このドSグクのキャラ最高です大好きです!引き続き楽しく読ませていただきます!更新頑張ってください! (2022年9月24日 14時) (レス) @page13 id: bde19c8f5c (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - ukさん» uk様、勿体ないお言葉ありがとうございます;勿体なさすぎて焦りますwこれからも悶絶していただけるようにw、頑張って更新しますー! (2022年9月3日 11時) (レス) id: 507e311f10 (このIDを非表示/違反報告)
uk(プロフ) - て、天才なのでしょうかと何度も思いました。オサナイ様の書くグクが可愛くてかっこよくて何度悶絶したか…。続きを読むのを楽しみにしてます。 (2022年8月31日 18時) (レス) @page50 id: 1deb3068ed (このIDを非表示/違反報告)
オサナイ(プロフ) - せなさん» せな様、感想ありがとうございます♡勿体ないお言葉でございますッ。グクテテ、バチバチしてますね笑 たくさんたくさんバチバチします、これからもきっと笑 (2022年8月30日 19時) (レス) id: c4780ee8d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オサナイ | 作成日時:2022年8月11日 19時