最低な同居人【JK】

生意気な奴×You ページ1

そう。



今になって思えば、

最初からなんか嫌な予感はしていた。






家具家電付き2LDKの角部屋なのに破格の値段だったこと。





不動産屋の老夫婦が、なんだかぼんやりしていたこと。






水道電気ガスの業者に電話したら、既に開栓済みだと言われたこと。










「は?」




『え?』





段ボールを運ぶため、新居のドアを開けようとしたまさにその瞬間、その嫌な予感は的中してしまった。




見知らぬ男の子が、私が借りた部屋から出てきて、バッチリ目が合ったのだ。





『ど、泥棒ッ?!』




驚きすぎて腰を抜かした私。


その私を見て、眉を潜める男の子。





「…あんた誰。ストーカー?」




『ス…』





ストーカー?






って、誰が!?






私が?!





意味が分からず、ただただ不機嫌そうな顔を見上げると…なるほど。



よくよく見れば、ストーカーの一人や二人いてもおかしくないほどの国宝級美少年だった。





大きな二重の目。


通った鼻筋。



ピアスだらけの耳。




緩いウエーブの黒髪が、陽を透かして艶々と光っている。





「ここ、俺の部屋なんだけど」





『え、私の部屋ですけど?!』





「は?」





『今日、引っ越してきたんですけど』





「いや、俺もだけど」





『え』





「は?」






フロアでも間違えたのかと思い、ゆっくり立ち上がって、部屋番号を確認する。




いや、間違いない。




契約した505号室、角部屋だから、この部屋だ。






「俺の契約書、ちゃんと505になってるよ」




『え。私のもなってます…見てください』





「………契約日は?」




『…2月10日です』





「全く同じなんだけど」





『ちょっと見せてもらってもいいですか』







相手の契約書には、私が契約した不動産屋と全く同じ社名が記載されている。






もはや、嫌な予感しかしない。

・→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す