黄色い光

15.初夏の黄昏 ページ17

ﾎﾟﾁｬﾝ……

「………また、か」

最近同じ夢ばかり見る
何年も前の話なのに、ね

ﾎﾟﾁｬﾝ……

「…何処だべ？ここ」

辺りを見渡せば見覚えのない天井
真っ白い……

「病院だべね 」

自分の腕についてる点滴の管で分かった
それに何とも言えない落ち着いた雰囲気
全くもって記憶がない

「みんなでキャンプするのに山に登って……ミナト……ッ！」

自分が悪いのにね
こんなにも胸が苦しい
苦しいのにもう傍には誰も、

ガラッ

「ぁ、A！」
「ミナ……っクシナ…」
「もう大丈夫？」
「……少し身体がダルいかな 」

何を言ってるんだろう
ミナトが来るはずない
あんな酷いこと言っておいて
都合の良いときだけミナトばかり頼って、
バカみたい

「貧血だって、ストレスがどうのって先生が言ってたってばね！」
「…そぅ。」

それからクシナからこれまでの事を聞かされた
鹿の案内のもとシカクが私達を見つけてくれたこと
キャンプは結局中止になったなど、
頭がぼーっとしてるせいかな
クシナの言葉が頭に入っているようであんまり入っていない
考えないようにしてるつもりなのに、頭はミナトの事でいっぱいだ

「ぁ、そうだ波風？だったけ」

「風邪で今寝込んでるって」

「……ぇ、？」

息が止まった気がした
やけに空気が苦しい
今、なんて、？

「ずぶ濡れだったからね」
「…………」
「波風と言えば、Aがいないって分かった瞬間凄く焦ってね」
「…………」
「雨が強くなるから止めなよって皆言ったのに"僕のせいだから！"って言って走ってったよ」
「………そっか、」

ごめんね、
私のせいだよね
ごめん
でもこれでいいんだよね
お互いが傷つかない方法は

「明日には退院できるって先生が言ってたからまた学校でね」
「…またね」

ほとんどクシナの言葉を聞き流さす形になってしまったが、大体の内容は分かった
嫌でもいつかはミナトに会うんだ
どんな顔して会えばいいのかな

「……ミナト」

そっと呟き、私は窓を見つめた


私の初恋は相手を傷つける形で終わってしまった。
初夏の夕暮れ時だった。

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