階級・甲の癸さん捌

366話　かまぼこ隊side ページ47

―竈門side―



今日の昼間の癸さんを思い出す。



…今日の癸さんは、この間よりもずっと強い…“憎しみ”の匂いがした。



どれだけ何があってあの埜田さんって人を恨んでいるのかは分からない。



…でも…本当は…誰より自分を憎んでいるんだと思う。



他の人よりも誰よりも優しい癸さんだから、人より自分を憎んでしまう。



竈門「…癸さんを、救ってあげたいな…。」



きっと一人で悩んで苦しんでいるから。



…何とかしてでも…助けてあげたい。



なんて思ってるのは、生意気なのかな。









―我妻side―



癸さんからはいつも、とても優しい音がする。



鼓動も、誰かに掛ける声も、キツイ言葉だったとしても絶対何処かに優しさがあって。



そんな癸さんだから俺は、しつこく求婚している。



軽く断ってはいるけど、今までみたいに叩かれたりとか…騙したりとかはしない。



…そんな癸さんが、今までで一番感情を表した音を出した。



それが“憎しみ”、“恨み”なのは…凄く悲しい。



元から辛い音がしてはいた…多分何かを隠してる。



でも…今日のは、聞いてるこっちが悲しくなるくらいに、痛い音だった。



まるで…自分をわざと傷付けているような…そんな音。



我妻「…癸さんには、笑ってて欲しいな。」



いずれ、心から笑っている所を見たい。



いつもの作っている笑顔じゃなく…素敵な音を奏でてくれる癸さんを、見たい、聞きたい。



だからこそ…頼れる存在になりたいな。



なんて…本人には言えないけど。









―嘴平side―



何だか腹が立つ強い奴。



一見弱そうに見えるし、掛かっていけば逃げようとするし、とにかく弱虫。



…なのに何処か、変な感じがする奴。



彼奴の笑顔は嘘臭え、普段はそうでもねぇくせに、何かを隠そうとする時…嘘臭くて気持ち悪い。



そんなの見せてんじゃねぇよ。



嘴平「…明日こそ勝ってやる。」



次会った時こそ彼奴に勝つ。



それで…あの嘘臭い笑顔を壊してやる。



今に見てろよ、馬鹿女。

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