34話☆ ページ36
「そう…なんですか…?」
原田「ああ、見つけた時の彼奴はボロボロだったとか聞いたけどな。」
そうだったんだ…。
原田「ここに連れて来られた時は酷かったぜ…誰とも口を利くことさえしなくてな、警戒心の強すぎる野良猫みたいな奴だって感じた。
それなのに唯一斎藤とは言葉を交わしていてな…まあ拾ったのは斎藤だから当然っちゃあ当然なんだが…。
彼奴が俺達と言葉を交わすようになったのは、彼奴が新選組入りしてからだ。」
「新選組入りしたのはすぐだったんですか?」
原田「ああ。入りたいって言い出したらしくてな、試験をして…すぐだよ。
彼奴の実力は、幹部を軽く超えていた…その時の試験をしたのが総司でな…手加減していたとはいえ一瞬でやられちまった。
それに納得が行かなかった総司はもう一戦申し込んで、今度は殺す気でかかったんだが…それさえも一瞬でやられちまった…。」
「…そんなに…」
原田「…動きが、常人離れしてたよ。」
…天馬さん…そんなに…。
原田「…おっと、話し過ぎちまったか…このこと、土方さんには言うなよ?」
「え、あ、あの…!」
原田「ん?」
「…何で私に、そのことを教えてくれたんですか?」
そう聞くと、原田さんは明るく笑いながら言った。
原田「お前なら彼奴の…天馬の心を開かせてくれるんじゃねぇかって思ったんだ。
天馬も仲間だ、俺も心配してるんだよ。」
それだけ言うと、手を振りながら行ってしまった。
「…仲間…だから心配…」
それは分かる、仲間のことはとても心配だし…大切にしたい。
誰でも思うことなんだと思う…。
でも、だからこそこれは…
「…逆効果…なんじゃないのかな…。」
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