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「あ、そうだ。
お前Fischer's覚えてっか?」
ラムネを飲み終えた彼は唐突にそう聞いてきた。
「覚えてるよ。キャラ濃すぎて忘れられないもん」
中学生の頃、シルクを中心にバカを全力でやっていた人達。それがFischer’s
「はは、聞いて驚くなよ。俺ら動画投稿してんだよ」
「は?」
訳もわからず眉間に皺を寄せていると、そのリアクションを待っていましたと言わんばかりに、ご機嫌そうに笑う彼。
「ほんっっと馬鹿なの変わらないよね」
「馬鹿で結構ー」
相も変わらず馬鹿をやっているようで安心した。
「…ダーマは?元気なの?」
ダーマは私とクラスが同じで、話が面白い人だったからよく話した記憶がある。
「お前中学の時からダーマのこと心配してたもんな。元気だよ」
元気すぎるぞ、あいつ。と爆笑する彼。
その様子からすると、きっと変わらず面白いことをしているんだろう。
でも、私にはまだ不安の種が幾つも残っていた。
「マサイは?諒に気遣って疲れてないか心配」
「大丈夫、楽しくやってるぜ」
転校してやって来たマサイはいじられることが多かった。あれをいじりと括っていいものかは定かではないけれど、あの頃の私はそんなマサイに手を差し伸べることは出来なくて。少しだけ後悔していたのである。
「…お兄ちゃんは元気?」
「元気だよ」
「良かった」
もっと聞きたいことはあったけど、ここら辺でやめることにした。
私が変な心配をする必要など無いくらいに彼らは成長し前に進んでいるのだとわかったから。
「なんか懐かしいな。私もFischer's入りたかったなー」
色々と葛藤しながらも自分達が一緒にいて楽しいと思える人達といることを選んだ彼らの絆が、ずっと羨ましかった。
「入るか?」
「入らないよ、何されるかわかんない」
「なんか俺がひでえやつみたいだな」
「ひどいやつだよ」
だから冗談でも、その輪の中心である彼にそんなことを言われて嬉しかった。
「…じゃあなんで付き合ったんだよ」
声色が変わった事に気付き、声のする方に顔を向けると、さっきまでのふざけたムードとは一変した真剣な表情をしているのが見えた。
悪い事を口にしてしまった、と反省した。
きちんと訂正しなければ。
私は深呼吸し彼の手を握った。
「そりゃもちろん、そんなところも大好きだからだよ」
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花梨 - 楽しみにしてます!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: e6157cc2f4 (このIDを非表示/違反報告)
橘雫(プロフ) - 花梨さん» ありがとうございます!色々と修正してもっとキュンキュンして頂けるような小説にしていきますので、お楽しみに! (2018年10月6日 22時) (レス) id: 1c9cad39f6 (このIDを非表示/違反報告)
花梨 - 最高すぎです!文才が神すぎです。終始きゅんきゅんでした。こういう感じのガンガン書いてください!めっちゃよみます!フィッシャーズ最高!!! (2018年10月2日 21時) (レス) id: e4eb9fe5a5 (このIDを非表示/違反報告)
橘雫(プロフ) - 書き直しを始めました。急ピッチで進めているため、誤字等あるかもしれません。その場合はご指定いただけると嬉しいです。 (2018年9月25日 15時) (レス) id: 1c9cad39f6 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - すごいですね!最初からこういうのにしようって考えてたんですね!?素晴らしい!! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 2870e13e2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘雫 | 作成日時:2017年4月17日 19時