ラムネ【Fischer's】

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オムライスを作ったあの日から





連絡が無くなっていった。





何回も泣いた。





何も聞けない自分に腹が立った。





多分忙しいだけなんだろうけど





私のことを気遣ってカメラマンとして呼ばないだけだろうけど。





私は意気地なしだから、自分から連絡を取れない。





迷惑かけちゃいけない





明日こそは連絡が来るだろうって





毎日思っている。





大学に行っていた間は会わなくても平気だったんだけどな。





また連絡が来ないかと携帯を見つめる。





その時だった。





君からの着信があったのは。






「久しぶり」






その声が懐かしくて暖かかった。






「久しぶりすぎるよ」






「ごめんな、忙しかった」






「うん、大丈夫」






「3月28日アメリカ行くからパスポート取ってなかったら取っとけよ」






「うん。楽しみにしてる」





「おう、またな」





「うん、またね」






しばらく沈黙が流れた。






「ん？切らねえの？」






「切るよ」






「そうか。じゃあまたな」






「うん」






電話が切れなかった。






まだ繋がっていたくて






まだ声を聞いていたくて。






「切らねえの？」






電話口で笑っている君。






「切るよ」






「本当に切るんだろうな」






「うん」






「今度こそ、じゃあな」






「じゃあね」






やっぱり切れなかった。






赤い表示を押すだけなのに。






「…なんかあったか？」






「…んーん、切りたくなかっただけ」






「…そうか。連絡取れなくてごめんな」






「うん…」






「…あのさ







「よし、切るね！またね！」







「お、おう」







沈黙の後に発せられる言葉が怖くて電話を切った。






終わりはすぐそこまでやってきているのかもしれない。

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